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▲中国海洋調査船「向陽紅09」(平成16年7月) |
昭和50年代に入り、米国、ソ連(現ロシア)、カナダ等世界の主要国が相次いで200海里漁業水域
*5を設定するなど、各国が管轄権の強化拡大を推し進めていく中で、我が国周辺海域では、資源の逼迫化と海底資源開発技術の進歩等を背景とする外国海洋調査船の活動が活発化し始めました。外国海洋調査船の活動確認件数は、昭和55年の35隻から昭和62年には95隻にも達しましたが、昭和62年をピークに、平成に入ってからは確認件数は減少傾向にあります。
しかし、中国については、我が国との間で排他的経済水域及び大陸棚の境界線が画定していないことなどを理由に、東シナ海における我が国の排他的経済水域において、我が国の同意のない調査活動等を活発に行い、特に平成11年には過去最高の33隻の中国海洋調査船を確認しました。この中には我が国の領海内に侵入して調査活動を行ったという事案もありました。
こうした東シナ海における無秩序な状況を解決するため、平成13年、我が国と中国との間で、東シナ海における相手国の近海で海洋の科学的調査を行う場合は、調査開始予定の2ヵ月前までに、外交ルートを通じ通報することを内容とする「海洋調査活動の相互事前通報の枠組み」について合意し、同年2月から運用が開始されました。その結果、東シナ海においては、我が国の同意を得ない調査活動は減少していますが、東シナ海以外の我が国の排他的経済水域においては、国連海洋法条約に基づく手続きを踏んでいない調査船の隻数が増加しています。平成16年は15件の特異行動
*6 を確認しており、最近では沖ノ鳥島周辺海域での中国船による調査活動が新たな問題として浮上しています。
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▲中国海洋調査船「奮闘7号」(平成16年5月) |
我が国は、国連海洋法条約等に基づき、我が国の同意がない限り、排他的経済水域において、外国が海洋の科学的調査を行うことを認めないこととしています。海上保安庁では、外国の海洋調査船に対して、巡視船艇・航空機により監視を行い、我が国の同意のあるものに対しては、同意の内容と合致しているか確認し、同意のない又は同意の内容と異なるものに対しては、現場海域において中止要求を行うとともに、外交ルートによっても調査活動の中止の申し入れを行っています。
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▲中国海洋調査船「科学1号」(平成16年12月) |