▲テロ対策訓練を行うフィリピンコーストガード職員 |
最近のテロの動向をみる限り、国際テロ組織が関与しているとみられる事件が多発しています。これら国際テロ組織による犯行に対しては、我が国一国のみでは対応することはできません。国際社会が一体となってテロに対する断固とした姿勢を示すとともに、諸外国と緊密に連携を図り、テロや、国民の生命に脅威を及ぼすその他の犯罪行為を未然に防止し、安全・治安を確保する必要があることはいうまでもありません。
我が国を含むアジア地域においても、テロの発生が懸念されています。これは陸上に限ったものではなく、海上でも同様です。
したがって、本来第一義的に海上における安全・治安の確保に当たる海上保安機関間で国際テロに対する包括的な枠組を構築する必要があります。
このような社会情勢を踏まえ、海上保安庁は、アジア地域各国の海上保安機関間において海上テロ及び海賊対策等の海上セキュリティ問題を議論する初めての会合である「アジア海上保安機関長官級会合」を、平成16年6月、東京にて開催しました。本会合ではアジアの17の国と地域から海上保安機関の長官級が一堂に会し、従来から構築してきたアジア地域での海賊対策分野における連携協力関係を発展させ、新たに海上テロ対策分野においても今後の連携協力を強化するための取組みが話し合われました。会合における合意事項については、我が国が提案した「アジア海上セキュリティ・イニシアチブ2004*1」に盛り込まれ、全会一致で採択されました。この中では、改正SOLAS条約並びに船舶及び港湾施設の国際保安規則に基づく監督措置を含む各種施策による海上テロの予防・鎮圧のための連絡窓口リストの設定、同リストを用いた情報交換の実施、二国間又は多国間による連携訓練の実施等が盛り込まれています。
「アジア海上セキュリティ・イニシアチブ2004」に基づいた、東南アジア各国との海賊及び海上テロ対策に関する相互協力及び連携の推進・強化策の一環として、海上保安庁では巡視船や航空機を東南アジア周辺海域に派遣し、公海上においては海賊や海上テロにも備えたしょう戒、寄港国の海上保安機関との連携訓練及び日本関係船舶との連携訓練等を実施しています。
海上保安庁では、このような連携・協力関係をより一層推し進めることにより、我が国周辺海域、さらには我が国関係船舶が多数往来するマラッカ・シンガポール海峡をはじめとするアジア周辺海域において、海上交通路の安全確保に努めていきます。