平成30年8月、台風が接近する中、千葉県野島埼沖を航行中の大型タンカー(総トン数:約16万トン)が機関室の火災により自力航行不能となり、漂流する事案が発生しました。陸岸への乗揚げを防止するため、巡視船による曳航を試みたものの、荒天の影響等により曳航資機材の能力を超え、困難であったため、民間企業をはじめ海事関係者等と早急に調整を図り、大型タグボートによる曳航等により乗揚げを食い止めました。
万が一、大型タンカーが乗り揚げて、積荷である原油が大量に流れ出た場合、環境破壊や付近住民への健康被害、物流への影響等甚大な被害が発生する可能性もありました。
この事案を受け、海上保安庁では、国の機関や民間企業との意見交換を行うとともに、令和2年3月には、官民連携による大型タンカー(総トン数:約16万トン)の曳航訓練を相模湾において行い、大型船に対する曳航救助方法や救助体制を確認しました。また、巡視船に搭載する曳航資機材の充実を図っているところです。
海上保安庁では、今回の訓練の結果も踏まえ、引き続き、盤石な海難救助体制の確保に努めていきます。
巡視船による大型タンカーの曳航訓練状況
多数のタグボートに曳航される自力航行不能の大型タンカー