海上保安レポート 2020

はじめに


TOPICS 海上保安庁、この1年


特集 海上保安庁新時代


海上保安庁の任務・体制


■本編

1 治安の確保

2 生命を救う

3 青い海を守る

4 災害に備える

5 海を知る

6 海上交通の安全を守る

7 海をつなぐ


語句説明・索引


図表索引


資料編

特集 海上保安庁新時代 > 1 着々と進む体制強化
特集 海上保安庁新時代
特集1 着々と進む体制強化
大型巡視船・大型測量船・新型ジェット機続々就役!! ―海上保安体制強化の推進―

「海上保安体制強化に関する方針」に基づき、平成28年度から整備を進めてきた大型巡視船・大型測量船・新型ジェット機が令和2年1月以降、続々と就役しています。就役したのは、ヘリコプター搭載型巡視船「れいめい」「しゅんこう」、大型巡視船「みやこ」、大型測量船「平洋」の合計4隻と新型ジェット機「ファルコン2000」1機です。

大型巡視船

PLH33 れいめい (令和2年2月19日就役)

PLH33 れいめい
船名由来

時間帯を表す名称で、新しい時代の始まりや夜明けを意味する「黎明」に由来。

PLH42 しゅんこう (令和2年2月4日就役)

PLH42 しゅんこう
船名由来

季節を表す名称で、四季の第一である春の季語の中から、春の光を意味する「春光」に由来。

PL201 みやこ (令和2年2月20日就役)

PL201 みやこ
船名由来

島を表す名称で、沖縄県に所在する「宮古島」に由来。


主要任務

尖閣諸島における領海警備の他、海上犯罪取締り、海難救助等に従事


主要装備

PLH42 しゅんこう

PLH42 しゅんこう
大型測量船

HL11 平洋 (令和2年1年29日就役)

HL11 平洋
船名由来

海洋調査を通じて、和な海、穏な海を目指していくという思いに由来。


主要任務

日本周辺海域海底の地形及び地質に関する情報の取得


特徴

アジマススラスターの採用

(1)定点保持能力:一定の位置に留まる能力が増すことにより、精密かつ効率的な海洋調査の実施が可能

電気推進の採用

(2)防振・防音性能:観測データに影響を与える船体の振動や雑音を防止することにより、精密かつ正確な観測データの取得が可能

(3)低速航行能力:電気推進の採用により、海洋調査で必要な長時間低速度での航行が可能

主要装備
主要装備
新型ジェット機

ファルコン2000 (愛称:わかたか)(令和2年2年27日就役)

ファルコン2000
愛称名由来

若くて勇ましい鷹を連想させ、福岡県を中心とした地域に慣れ親しまれている名称であることに由来。


主要任務

東シナ海をはじめとした我が国周辺海域における監視業務のほか、海難救助等に従事


特徴

赤外線監視装置高性能監視レーダー等の搭載

監視能力の強化:

●高精度な監視が可能

●遠距離・長時間の捜索・監視が可能

●夜間の捜索・監視能力の向上

海上保安体制の強化
関係閣僚会議

海上保安庁が直面する多岐にわたる課題に対応するため、平成28年12月21日、「海上保安体制強化に関する関係閣僚会議」が開催され、「海上保安体制強化に関する方針」が決定されました。

本方針は、「国家安全保障戦略」(平成25年12月17日国家安全保障会議及び閣議決定)において、法執行機関の能力強化や海洋監視能力の強化をはじめとする大きな方向性が示されていること等を受け、我が国周辺海域における重大な事案への対応の具体的な方向性が定められたもので、海上保安庁の「海上法執行能力」、「海洋監視能力」及び「海洋調査能力」の3点の強化を図るため、5つの柱による海上保安体制の強化を進めることとされました。

令和元年12月20日には、4回目となる同関係閣僚会議が開催され、体制強化の進捗状況を確認するとともに、引き続き、海上保安体制の強化を進めることが確認されました。

令和元年12月の関係閣僚会議の様子

令和元年12月の関係閣僚会議の様子(出典:首相官邸HP)

強化の5つの柱
強化の5つの柱
巡視船・測量船・航空機の整備

「海上保安体制強化に関する方針」に基づき整備されている巡視船、測量船、航空機の整備から就役までの期間のイメージは、以下のとおりです。

整備の着手から就役までの期間
教育施設の整備

平成28年以降、「海上保安体制強化に関する方針」に基づき巡視船等の整備を進め、定員が増加しているところ、教育訓練施設が狭隘となり、また、海上保安業務対応能力の向上を図るため、教育施設の充実・強化を進めています。

海上保安大学校

〈国際交流センターの整備〉

「自由で開かれたインド太平洋」の推進という政府方針の下、教育分野においても、アジア諸国の海上保安機関の職員を受け入れて能力向上支援を行っています。

また、アメリカやカナダ、韓国、マレーシア、フィリピン等の士官学校の学生や若手職員を招聘し、海上保安大学校の学生と国際会議や交流イベント等を行っています。

海上保安大学校における国際分野の取組みを更に推進するため、平成28年から国際交流センターの整備を進め、令和2年2月、完成しました。

国際交流センターは、「国際講義棟」、「宿泊研修棟」から構成され、「国際講義棟」は、木材をふんだんに使用し、また、「国際講義棟」は、日本遺産に指定されている煉瓦ホールを玄関口として活用することにより、外国の方々が日本の文化を感じれるよう配慮しました。

国際交流センター
国際講義棟

国際講義棟

広場

広場

竣工式

令和2年2月27日、国際交流センターの完成を記念して、
呉市長や関係機関の多数のご来賓の下、
竣工式を開催しました。

海上保安学校

〈艇庫兼総合実習棟の整備〉

現在の運用実習室及び艇庫は、昭和16年に建築され、老朽が進んでおり、また、巡視船の増強等に伴い学生数も増加していることから、寮機能を備えた艇庫兼総合実習棟の整備を進めています。

老朽化した艇庫

老朽化した艇庫

整備を進めている艇庫兼総合実習棟

整備を進めている艇庫兼総合実習棟

北九州航空研修センター

〈北九州航空研修センターの整備〉

当庁の航空機の増強を進めているところ、飛行機操縦要員養成の必要性が一層増しているため、北九州航空研修センターを開設し、北九州空港において小型飛行機を使用し、飛行機操縦要員の養成に必要な寮機能を備えた研修施設の整備を進めています。

練習機

練習機

国土交通大臣による測量船の船名揮毫

平成28年から整備を進めてきた大型測量船「平洋」は、22年ぶりに就役した当庁最大の測量船です。船体に書かれた船名は、石井国土交通大臣(当時)が揮毫を行い、それを転写しています。

また、令和2年度に就役を予定している大型測量船「光洋」についても、赤羽国土交通大臣が揮毫し、船体に転写することとなっています。

測量船「平洋」

測量船「平洋」

外国漁船取締りの強化 〜宮古島海上保安部に規制能力強化型巡視船9隻体制完成〜

平成31年2月、規制能力強化型巡視船9隻体制が宮古島海上保安部に完成しました。令和元年6月3日には、規制能力強化型巡視船9隻体制完成披露式を開催しました。

配備された巡視船9隻は、外国漁船の取締りのほか、海上犯罪の取締りやマリンレジャーの安全対策、急患搬送などに対応します。

伊良部島長山港に停泊中の規制能力強化型巡視船

伊良部島長山港に停泊中の規制能力強化型巡視船

完成披露式

完成披露式

長官挨拶

長官挨拶


空からの尖閣諸島監視体制強化 〜那覇航空基地に新型ジェット機3機体制〜

令和元年8月より、順次、那覇航空基地に新型ジェット機3機が就役し、令和2年2月、尖閣諸島周辺海域の24時間監視体制が完成しました。

配備された新型ジェット機は、海洋監視能力の強化のため、航空用高性能監視レーダー、赤外線捜索監視装置を搭載したことにより、昼夜を問わず、広範囲を監視することが可能となりました。

新たに配備された「ファルコン2000」

新たに配備された「ファルコン2000」

桜島と巡視船「しゅんこう」

桜島と巡視船「しゅんこう」