海上保安庁には、高度な専門技術を有するスペシャリスト集団が存在します。
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海上保安官の仕事
海上保安庁のスペシャリスト集団
海上保安庁には、高度な専門技術を有するスペシャリスト集団が存在します。 ❶救難のスペシャリスト 特殊救難隊
特殊な海難に対応するためのスペシャリストで、映画「海猿」のモデルにもなっています。転覆した船舶や火災を起こした危険物積載船等における人命救助や火災消火、ヘリコプターからの降下、吊り上げ救助等高度な救助技術と専門的知識を有しています。 特殊救難隊は昭和50年に発足し、平成27年10月には発足40年を迎えました。発足からの出動実績は、出動件数5,111件、救助人員2,689人となっています(平成29年12月31日現在)。また、自然災害への対応や国際緊急援助隊(JDR)としての海外派遣など幅広い場面で活躍しています。
現場の声
羽田特殊救難基地 第二特殊救難隊 救急救命士 私は、入庁後に救急救命士の資格を取得し、特殊救難隊に入隊しました。 特殊救難隊の救急救命士は、特殊救難業務を実施しつつ、要救助者に対して専門的な救急救命処置を実施します。 近年、特殊救難隊は、特殊海難への対応に加え、陸上における大規模な自然災害などにも出動し、活動の範囲が広がっています。 我々は、海難現場で危険因子を認知し、安全・確実・迅速に救助活動を行う為に、自らの限界を知り、危険予知能力や状況把握能力を身に付け、いつどのような海難が発生しても対応できるよう日々訓練を積んでいます。 今後も救助能力を高め、救える命を確実に救うことができる隊員を目指していきます。 ❷海上災害防止のスペシャリスト 機動防除隊
海上災害の防止に関するスペシャリストです。海上に排出された油、有害液体物質の防除や海上火災の消火及び延焼の防止に関する指導・助言や関係者の調整を実施するほか、必要に応じて自ら防除措置などを行います。 機動防除隊は、平成7年に発足し、平成27年10月には発足20年を迎えました。発足からの出動実績は、370件となっています(平成29年12月31日現在)。また、国際緊急援助隊(JDR)として海外派遣など様々な場面で活躍しています。
現場の声
横浜機動防除基地 防除措置官 船舶の衝突や乗揚げ事故等による油、有害液体物質等の流出事故は全国各地で発生しています。 油は、ひとたび沿岸に漂着すると一帯を黒く汚し油の臭いが立ち込め、原状回復までに多大なる時間、労力、費用を要します。 有害液体物質等は、発生するガスが引火するものもあり、吸引すると人の命に関わるものもあります。 現場の状況は流出した物質や環境によって様々で、有害液体物質等の数は数百種類におよび各々性状が異なるため、多くの資料や知見から挙動を予測し適切に被害を防ぐことが重要です。 事故現場では、防除体制の根拠となる法律等に基づき指導助言を行います。 また、流出した物質の回収や分散といった防除活動を行うにあたっては、大型油回収装置や油処理剤散布装置等特殊器材を適切に取り扱うための専門技術が求められます。 特殊技能を基に関係者へ指導助言する職務に重圧を感じることもありますが、日本国内はもちろんのこと海外での事案対応等において、指導助言した知識及び技術が現場で活きている場面を直に感じることが出来るところは、機動防除隊の魅力の一つではないかと思います。 我々はこれからも事故の経験から学び、より安全な現場活動を目指していきます。 ❸警備のスペシャリスト 警備実施等強化巡視船
警備実施等強化巡視船は、違法・過激な集団による海上デモや危険・悪質な事案、テロ警戒等に対応するため、必要な知識、技能及び装備を備えた特別警備隊が配置されている巡視船です。平成28年5月に開催された伊勢志摩サミットにおいても、その海上警備の中核として活躍しました。
❹海洋調査のスペシャリスト 測量船
測量船は、海底地形の測量、海流や潮流の観測、海洋汚染の調査等を行う船です。海上保安庁には、本庁配備の大型測量船が5隻、管区に配備される小型測量船が7隻あります。測量船は、専ら海洋調査に従事するため、自律型潜水調査機器(AUV)やマルチビーム測深器をはじめとする特殊な海洋観測機器の運用を前提につくられており、その乗組員も高度な専門知識・技術を有する海洋観測のエキスパートです。
現場の声
測量船 「天洋」 観測士補
私は、測量船「天洋」で観測士補として、現在まで約2年間勤務しており、海洋調査機器の整備・運用等を行っています。 測量船「天洋」の主な任務は、航海の安全を支える海図を作製するための水深調査です。 水深調査では、水深の浅い所や離島周辺を調査することもあり、常に緊張感を持ち、乗組員同士のコミュニケーションを図ることを心がけ調査を実施しています。調査は、ひたすら測線(測量を行うために船が航走する線)を往復する地味な仕事ですが、私たちが調査した水深データが海図に反映され、航海者、漁業者などに提供される時には、非常に大きな達成感とやりがいを感じます。 今後も調査を通じて航海安全に貢献できるよう、日々精進していきたいと思います。 我々はこれからも事故の経験から学び、より安全な現場活動を目指していきます。 ❺海上交通管制のスペシャリスト 海上交通センター
現場の声
東京湾海上交通センター 運用管制官付
私は、海上保安学校を卒業後、東京湾海上交通センターに配属されました。新任の運用管制官は、約半年間の研修を受け、運用者認定審査に合格すると、晴れて一人前の運用管制官として業務に就くことができます。私は、運用管制官として、2年目になりますが、勉強の毎日を過ごしています。 東京湾は、多くの船舶が行き交う世界有数の混雑海域です。船舶交通の安全のために、情報提供や航行管制、交通の整理、航法指導等を行っています。海難の未然防止に努めるべく、24時間交代制勤務で船舶を監視しており、日々緊張感と責任感が伴いますが、1日を無事に終えられると「ホッ」としますし、非常にやりがいを感じられる職場です。 ❻化学分析のスペシャリスト 海上保安試験研究センター
現場の声
海上保安試験研究センター 化学分析課 私は、海上保安試験研究センター化学分析課で、海上環境に関する鑑定を行っています。高専時代に環境分析の実験に興味を持ったため、現職への異動を希望しました。化学分析の技術は、日進月歩であり、これに対応するには常に新しい知識が要求されるため、現在私は、大学院で量子化学の分野を研究し、研究成果を鑑定に活かしたいと思っています。これまで最も印象に残っている鑑定は、酪酸の鑑定です。悪臭と戦いながら分析を行い、科学的に証明したことによって、現場の保安部から感謝されたことが励みとなっています。まだ私は、日々の業務をこなすことで精一杯ですが、将来は環境分析のスペシャリストとしての鑑定人を目指したいと思っています。
❼音楽のスペシャリスト 海上保安庁音楽隊
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