海上保安レポート 2014

はじめに


TOPICS 海上保安の一年


特集 海上保安庁の精神 正義仁愛


海上保安庁の任務・体制


■本編

1 治安の確保

2 生命を救う

3 青い海を守る

4 災害に備える

5 海を知る

6 交通の安全を守る

7 海をつなぐ


目指せ! 海上保安官


語句説明・索引


図表索引


資料編

1 治安の確保 > CHAPTER VII 不審船・工作船対策
1 治安の確保
CHAPTER VII 不審船・工作船対策

海上保安庁では、昭和23年の発足以来、これまで21隻の不審船・工作船を確認しています。これらの不審船・工作船は、平成13年の九州南西海域での工作船事件にみられるように、覚せい剤の運搬や工作員の不法出入国等の重大犯罪に関与している可能性が高く、我が国の治安を脅かす不審船・工作船の活動を未然に防止することは重要な課題です。海上保安庁では、巡視船艇・航空機による警戒監視を行うとともに、各種訓練を通じ、発見時における適切な対処能力の向上に努めています。

平成25年の現況

平成25年は、不審船・工作船の活動は確認していませんが、昨今の朝鮮半島情勢は依然として緊迫した状況にあり、我が国周辺海域での不審船・工作船対策は引き続き重要な課題です。海上保安庁では、情報収集や巡視船艇・航空機による警戒監視により、不審船・工作船対策に万全を期しています。また、不審船・工作船への対応を主目的として整備された「2,000トン型巡視船(ヘリ甲板付高速高機能)」、「1,000トン型巡視船(高速高機能)」及び高速特殊警備船を中心に各種訓練を実施し、また、海上自衛隊との共同訓練も実施しています。

このほか、関係機関や民間ボランティア等との情報交換を緊密に行うことにより、不審船・工作船に関する情報収集体制の強化を図っています。

今後の取組み

今後とも、不審船対応能力の維持・向上に努め、各種訓練を実施するとともに、関係機関等との連携を一層強化して、不審船・工作船の早期発見に努め、発見時には厳正に対処していきます。

九州南西沖工作船事件の展示
九州南西沖工作船事件

平成13年12月22日未明、海上保安庁は、防衛庁(当時)からの不審船情報を受け、直ちに巡視船・航空機を急行させました。巡視船・航空機は、同船に対して繰り返し停船を求めましたがこれを無視し、逃走を続けました。このため、射撃警告の後、巡視船搭載の機関砲による威嚇射撃を行いました。

しかし、同船は、停船・逃走を繰り返し、同船が停船したのを機に、再び逃走するのを防止するため、巡視船二隻が同船を挟み込みもうと接近したところ、同船は、自動小銃・ロケットランチャーなどの武器で巡視船に攻撃してきました。攻撃を受けた巡視船は、即座に正当防衛のための射撃を実施しましたが、同船からの攻撃により海上保安官3名が負傷し、巡視船に甚大な被害がもたらされました。

その後、同船は爆発を起こし、沈没しました。沈没から約9ヶ月後、海底から引き揚げられました。


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