近年の海賊の発生件数は、世界各国や海事関係者の懸命な取組みにより、減少傾向にあるものの、発生海域は引き続き広範囲に亘っています。主要な貿易のほとんどを海上輸送に依存する我が国にとって、航行船舶の安全を確保することは、社会経済や国民生活の安定にとって不可欠です。
海上保安庁では、海賊対処のために派遣されている海上自衛隊護衛艦への海上保安官の同乗や、ソマリア沖・アデン湾や東南アジア海域等の沿岸国海上保安機関に対する法執行能力向上支援等により、海賊対策を実施しています。
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1 治安の確保
CHAPTER V 海賊対策
近年の海賊の発生件数は、世界各国や海事関係者の懸命な取組みにより、減少傾向にあるものの、発生海域は引き続き広範囲に亘っています。主要な貿易のほとんどを海上輸送に依存する我が国にとって、航行船舶の安全を確保することは、社会経済や国民生活の安定にとって不可欠です。 海上保安庁では、海賊対処のために派遣されている海上自衛隊護衛艦への海上保安官の同乗や、ソマリア沖・アデン湾や東南アジア海域等の沿岸国海上保安機関に対する法執行能力向上支援等により、海賊対策を実施しています。 ■ソマリア沖・アデン湾の海賊について
平成25年のソマリア沖・アデン湾での海賊発生件数は15件であり、各国海軍による海賊対処活動、商船による乗り込み防止の自衛措置や民間武装警備員の乗船などが相まって功を奏し、前年の75件に比べ大幅に減少していますが、発生海域は、引き続き広範囲に渡っており、また、重武装したソマリア海賊は依然として大きな脅威です。 海上保安庁では、海賊対処のために派遣された海上自衛隊の護衛艦に、海上保安官8名を同乗させ、海賊の逮捕、取調べ等の司法警察活動に備えつつ、自衛官とともに海賊行為の監視、情報収集等を行っています。この派遣捜査隊は、平成21年の第1次隊以降、平成26年3月末までに、第18次隊まで合計144名を派遣しています。また、平成26年3月には、ジブチに航空機を派遣して、同国機関と連携して海賊を日本に護送する訓練を実施しました。 さらに、海上保安庁は、自ら海賊への司法警察活動を行うのみでなく、ソマリア連邦共和国及び同周辺海域沿岸国の海上保安機関に対して、法執行能力向上のための支援を実施しています。中でも、平成25年9月には、海上保安庁から短期専門家をジブチに派遣し、国際法や船艇運航管理等の講義を行っています。 (ソマリア連邦共和国及び同国周辺海域沿岸国の海上保安機関への能力向上支援については、「海をつなぐ」CHAPTER IIで詳しく説明していますのでご覧ください。)
■東南アジア海域の海賊について
平成25年の東南アジア海域における海賊の発生件数は128件であり、前年の104件に比べ増加しています。そのうち、インドネシアでは、全世界で発生した件数の約4割を占める106件の海賊事案が発生し、錨泊中や停泊中の船舶に忍び込み、現金、乗組員の所持品、船舶予備品等を盗む事案が多く認められます。 海上保安庁では、東南アジア海域等の沿岸国海上保安機関に対して、法執行等の能力向上支援を実施しているほか、毎年、巡視船や航空機を東南アジア海域等に派遣しており、平成25年9月には、マレーシアに巡視船を派遣し海上法令執行庁(MMEA)と連携訓練及び同職員に対する制圧術研修等を、平成26年1月には、インドに巡視船を派遣し沿岸警備隊(ICG)と連携訓練等を、平成26年3月には、スリランカに航空機を派遣し沿岸警備庁(SLCG)と意見交換等を実施しました。 (東南アジア海域等の沿岸国海上保安機関への能力向上支援については、「海をつなぐ」CHAPTER IIで詳しく紹介していますのでご覧ください。) ソマリア周辺海域派遣捜査隊の声
海上保安庁では、今後とも、海賊対処のために派遣される護衛艦に海上保安官を同乗させるほか、引き続き、ソマリア沖・アデン湾及び東南アジア海域等の沿岸国海上保安機関に対する法執行能力向上支援や、関係国との連携強化を通じて、海賊対策を推進していきます。
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