海上保安レポート 2014

はじめに


TOPICS 海上保安の一年


特集 海上保安庁の精神 正義仁愛


海上保安庁の任務・体制


■本編

1 治安の確保

2 生命を救う

3 青い海を守る

4 災害に備える

5 海を知る

6 交通の安全を守る

7 海をつなぐ


目指せ! 海上保安官


語句説明・索引


図表索引


資料編

1 治安の確保 > CHAPTER III 外国漁船による違法操業等への対策
1 治安の確保
CHAPTER III 外国漁船による違法操業等への対策

我が国の領海排他的経済水域(EEZ)では、将来にわたって漁業資源が安定的に供給できるよう、我が国漁業者に一定のルールを定めているほか、我が国EEZでは周辺諸国等との間で各種漁業協定を結び、外国漁船に対し協定に基づくルールを定めています。しかしながら、ルールに従わない悪質な外国漁船による違法操業により、我が国の貴重な水産資源を乱獲する事案が後を絶ちません。

海上保安庁では、我が国水域の漁業秩序を維持するため、徹底した監視取締りを行い、外国漁船による違法操業の根絶に努めています。


◆外国漁船への適用法令
◆外国漁船への適用法令

◆漁業協定の暫定水域等略図
◆漁業協定の暫定水域等略図

我が国領海では、外国漁船による操業が原則禁止されており、また、我が国EEZでは、外国漁船は我が国の許可等を受けなければ操業が認められません。

なお、日中、日韓間では、漁業協定に基づきEEZに暫定水域等が設定されており、同海域では、相手国の漁船に対して漁業関係法令は適用せず、両国間において共同で資源管理等を行うこととされています。

また、昨年4月に日台民間漁業取決めが署名され、同年5月、台湾の漁船に対するEEZ漁業法の適用特例対象海域が設定されました。

沖縄県宮古島沖での中国さんご漁船による違法操業を相次いで検挙

平成25年2月2日、那覇航空基地所属航空機が、沖縄県宮古島沖の我が国EEZで違法操業中の中国さんご漁船を発見しました。中国漁船は、急行した巡視船の停船命令に従わず、漁具を投入したままジグザグに逃走を続けましたが、巡視船が一瞬の隙をつき強行接舷を行い、海上保安官が移乗し、被疑者を現行犯逮捕しました。翌日、代理人から担保金制度に基づく担保金の提供を保証する書面が提出され、「EEZ漁業法」に基づき中国人船長を釈放しました。

その後、平成25年3月、11月にも、この海域で中国さんご漁船による違法操業が発生しており、海上保安庁では、それぞれ被疑者を現行犯逮捕しています。


中国さんご漁船を追跡する巡視船
中国さんご漁船を追跡する巡視船
平成25年の現況
拿捕した外国漁船
拿捕した外国漁船

平成25年の外国漁船の検挙隻数は11隻で、前年より4隻増加しました。内訳としては、領海内で違法操業を行った外国漁船が2隻、EEZで違法操業を行った外国漁船が6隻、巡視船による立入検査を忌避した外国漁船が3隻でした。

これらの外国漁船に対しては、巡視船艇・航空機により停船命令を実施し、停船させた上で逮捕する等していますが、中には停船命令に従わず逃走するとともに、摘発を逃れるためジグザグに航走する悪質なものも見受けられます。海上保安庁では、これら停船させることが困難な外国漁船に対しても、巡視船艇による強行接舷を行い、海上保安官を移乗させ、被疑者を逮捕するなど、厳正かつ的確に対応しています。


◆外国漁船の国籍別検挙隻数の推移
◆外国漁船の国籍別検挙隻数の推移

◆平成25年の外国漁船による漁業関係法令違反位置
◆平成25年の外国漁船による漁業関係法令違反位置
今後の取組み

海上保安庁では、引き続き、国内外関係機関のほか地元漁業者などの地域住民との連携・協力を図り、情報収集・分析活動に基づく巡視船艇・航空機の効率的かつ効果的な運用を図るとともに、逃走・妨害等を行う外国漁船を停船させるために必要な能力のさらなる向上を図ることにより、厳正かつ的確な監視取締りに取組んでいきます。