海上保安レポート 2014

はじめに


TOPICS 海上保安の一年


特集 海上保安庁の精神 正義仁愛


海上保安庁の任務・体制


■本編

1 治安の確保

2 生命を救う

3 青い海を守る

4 災害に備える

5 海を知る

6 交通の安全を守る

7 海をつなぐ


目指せ! 海上保安官


語句説明・索引


図表索引


資料編

1 治安の確保 > CHAPTER VI テロ対策
1 治安の確保
CHAPTER VI テロ対策

平成13年に発生した米国同時多発テロ以降、各国が協調してテロ対策を進めていますが、依然として、世界各地ではテロが頻発しており、我が国にとってもテロの未然防止は引き続き重要な課題です。

海上保安庁では、原子力発電所をはじめとした臨海部重要施設の警戒監視など、関係機関との緊密な連携の下、テロ対策に取り組んでいます。

平成25年の現況

平成25年も、引き続き、臨海部の原子力発電所、石油コンビナート、米軍施設等、海上からのテロ攻撃の標的となり得る施設について、巡視船艇・航空機による警戒監視を実施しました。

特に、原子力発電所などの施設の周辺海域には、常時、巡視船艇を配備して警戒監視を実施しました。また、平成23年3月の福島第一原子力発電所事故を受け、さらなるテロ対策の強化が喫緊の課題となっていることを踏まえ、装備資機材の整備拡充等の必要な措置を講ずるとともに、関係省庁との連携をこれまでより一層強化しました。

外国船舶への立入検査
外国船舶への立入検査

加えて、ゴールデンウィーク、夏休み、年末年始等の旅客の移動が活発となる時期には、人が多く集まる旅客ターミナル等での警戒を重点的に実施しました。さらに、国際港湾では、入港する外国船舶に対して立入検査等を実施するなど、関係機関と連携して水際対策を行っています。平成25年は、「国際航海船舶及び国際港湾施設の保安の確保等に関する法律」に基づき、全国で2,940隻の入港船舶に立入検査を行い、保安上の危険の有無を確認しています。

原子力発電所の警戒とテロ対処合同訓練

海上保安庁では、全国18箇所の原子力発電所等に対するテロ攻撃等に備えるため、巡視船艇・航空機により、昼夜を分かたず警戒監視を行うとともに、関係機関との合同訓練を通じ、連携強化を図っています。

福島第二原発でのテロ対処合同訓練
福島第二原発でのテロ対処合同訓練

平成25年5月11日、海上保安庁と警察庁は、東京電力福島第二原子力発電所において、合同訓練を実施しました。これは、東日本大震災の被害により脆弱となった東京電力福島第一原子力発電所に対するテロを想定し、海上保安官約70名と警察官約80名が参加しました。訓練は、〔1〕海上保安庁のヘリコプターがテロ容疑船を発見・追跡し、配備中の巡視船等によるテロリストの制圧、〔2〕原発構内の港に接岸中の船舶に潜んだテロリストを発見し、海上保安庁ヘリコプターから海上保安官が降下して制圧する等の想定で行われました。

今後の取組み

海上保安庁では、引き続き各種訓練等を通じ、全国の警備実施等強化巡視船をはじめとする巡視船艇・航空機の対処能力のさらなる向上に努めるとともに、国内外のテロ情勢に応じた対策や現場要員の確保を推進します。さらに、関係機関や地域とも緊密な連携を図りながらテロの未然防止に取り組んでいきます。