海上保安レポート 2014

はじめに


TOPICS 海上保安の一年


特集 海上保安庁の精神 正義仁愛


海上保安庁の任務・体制


■本編

1 治安の確保

2 生命を救う

3 青い海を守る

4 災害に備える

5 海を知る

6 交通の安全を守る

7 海をつなぐ


目指せ! 海上保安官


語句説明・索引


図表索引


資料編

はじめに
Japan Coast Guard

四面環海の我が国は、「海」を海運や漁業の場として活用するとともに、様々な恩恵を受けて来ました。近年では、メタンハイドレート等の新たな海洋資源や、海洋再生可能エネルギーへの期待が高まる中、西之島付近で新島が出現するなど、「海」への関心がさらに高まっています。

海上保安庁は、国土面積の約12倍、約447万平方キロメートルにも及ぶ広大な我が国周辺海域において、海洋の秩序維持、海難の救助、海上防災、海洋環境の保全、海洋調査、海上交通の安全確保などに従事し、我が国国民の安全・安心の実現という重要な任務に邁進しているところです。

いうまでもなく、海上保安庁の業務の重点は、時代により変遷しております。近年では、近隣諸国等の海洋進出が活発化しており、特に、尖閣諸島周辺海域においては、平成24年の同諸島の取得・保有以来、中国公船による領海侵入が繰り返されるなど、緊迫した状況が続いています。

これに対し海上保安庁では、自国の領域を守るという断固たる意思を持って、中国公船等に対し、冷静に、かつ、毅然とした態度で忍耐強く対処しているところです。

しかしながら、我が国周辺海域においては、依然として海難や災害により尊い人命が失われています。また、薬物や銃器の密輸、海外からの不法入国等の治安を脅かす事件も起こっています。

また、伊豆大島集中豪雨被害や今も続く東日本大震災への対応では、行方不明者のご家族の想いを感じながら、巡視船艇・航空機による捜索や潜水士による潜水捜索を実施するなど、被災地の方々に寄り添った対応を心掛けております。

今回の海上保安レポート2014では、海上保安庁及び海上保安官のよって立つ精神である「正義仁愛」を紹介することとしました。「正義仁愛」という言葉は、海上保安庁発足の日(昭和23年5月1日)、大久保武雄初代海上保安庁長官が、職員を前に「海上保安庁の精神は“正義と仁愛”である」と訓示して以来、海上保安庁の精神として個々の海上保安官に浸透するとともに、海上保安庁の伝統として脈々と受け継がれています。この精神は、業務の重点が変化しても、決して変わることはありません。

本書をお読みいただき、海上保安庁に対するご理解をより一層深めていただければ幸いです。

海上保安庁は、海上の安全と治安の確保を図るため、これまでも、そして、これからも、「正義仁愛」の精神をもって、様々な業務に適切に対応してまいります。