新人降下員、外国人船員救助に初出動! 第四管区海上保安本部
巡視船「みずほ」機関士補の柴田直樹です。
私は、海上保安学校に入校したときから、現場で救難業務を行うことが目標でした。海上保安学校卒業後、ヘリコプター2機搭載型巡視船の「みずほ」に配属となり、ヘリコプターからホイストを使って降下し、救助活動を行う「降下員」として活躍する先輩たちの姿に憧れ、自分も降下員になりたいと強く意識するようになりました。このような中、降下員に空きができたため即座に志願したところ、厳しい訓練や研修を経て、平成24年2月、念願の降下員になることができました。
降下員になってからも厳しい訓練に励み、技術や能力の向上に努めてきましたが、ついに出動の機会が訪れました。平成24年5月、パトロール中の「みずほ」に「外国貨物船で急病人発生、ヘリコプターで吊上げ救助を行え。」との指令が下りたのです。降下員が必要となる状況であり、船内で救助計画を策定していた救難班長から、「柴田、やれるか?」と尋ねられました。私にとっては初出動で、不安な気持ちもありましたが、日頃の訓練の成果が認められたのだと考え、「行けます!」と勢いよく答えました。
その後の準備作業では緊張と不安で何も手に付かない状態でしたが、バディとなるベテランの谷口降下員から「いつもの訓練と同じやで、一つ一つの動作を確実にな。」とアドバイスを受け、落ち着くことができました。それでもヘリコプターが「みずほ」を出発し現場に向かう途中では「自分のミスで救助が失敗したら……」との不安で一杯になりましたが、貨物船が見えたとき「ここには自分しかいない、俺がやるしかないッ!」と一気に腹が据わりました。
現場に到着するまでにしっかりと準備できていたからか、その後の救助作業は思った以上に冷静に行動できました。要救助者を無事機内に収容し、中部空港海上保安航空基地で救急隊に引き渡す際に、相手から「Thank you」と言われたときには、「ああ、自分の働きで人を助けることができたんだ。」と何とも言えない嬉しい気持ちになり、この出動以降、「私の行動一つ一つが人のために役立っているんだ。」と実感を持って考えることができるようになりました。
今後は更に救助活動や訓練を重ね、降下員としての技量を向上させるとともに、空からだけでなく、海に潜っても救助活動ができるよう、潜水士を目指したいと考えています。