四方を海に囲まれた我が国において、海は身近な存在であり、古来より水産資源など海からの恩恵を享受してきたほか、現在も、物流の多くを海上輸送に依存しています。また、国土面積の12倍の広さを誇る我が国の海は、その広大な海底において、様々なエネルギー・鉱物資源の存在が明らかになってきています。
海洋国家である我が国は、平成19年に海洋基本法を制定し、新たな海洋立国の実現に向けて、海に関する様々な取組みを積極的に推進しているところです。
一方、我が国周辺海域においては、近年、近隣諸国等の海洋進出が活発化しており、時に我が国の主権が脅かされるような事案も発生しています。特に尖閣諸島周辺海域では、平成24年9月以降、中国公船が我が国領海に侵入する事案が頻発するなど、非常に緊迫した情勢にあります。
このような情勢を踏まえ、海上保安レポート2013では、「領海・EEZを守る海上保安庁」と題した特集を組み、海上保安庁の尖閣諸島周辺海域における領海警備等の現状、海上保安体制の充実強化のための取組みについて詳しく紹介しています。
また、海上保安庁ではこの他にも、広大な海において我が国の主権と領土・領海を堅守し、国民の皆様の安全・安心を確保するため、海上での警備・取締り、海難救助、灯台等の管理、海の安全に関する情報提供等、様々な活動を行っています。
特に、平成23年3月11日に発生した東日本大震災からの復旧・復興は、最も重要な業務の一つです。海上保安庁は、航路標識の復旧や海図の改訂等を引き続き実施しているほか、今後発生が予想される地震・津波に備え、防災体制の強化も図っています。
海上保安レポート2013では、これら海上保安業務全般について、詳しく紹介しています。さらに、図や写真を多く使い、分かりやすくなるよう工夫しました。
本書をお読みいただき、海上保安庁に対するご理解をより一層深めていただければ幸いです。海上保安庁は、これからも、海の安全・安心を守り、国民の皆様の期待に応えられるよう業務を遂行してまいります。