海上保安レポート 2012

はじめに


TOPICS 海上保安の一年


特集 東日本大震災


海上保安庁の任務・体制


■本編

1 治安の確保

2 領海等を守る

3 生命を救う

4 青い海を守る

5 災害に備える

6 海を知る

7 交通の安全を守る

8 海をつなぐ


目指せ! 海上保安官


語句説明・索引


図表索引


資料編

目指せ! 海上保安官 > 潜水士になるまで
目指せ! 海上保安官
潜水士になるまで

海上保安庁では、海難発生時に、巡視船艇や航空機が現場へ急行し、救助活動を行います。特に、転覆した船内からの生存者救出など困難な環境下での高度な救助技術を要する場合は、潜水士が活躍します。平成23年度末現在、海上保安庁では約220人(海上保安庁職員全体の約2%)の潜水士が、全国の巡視船艇や航空基地等に配属されています。ここでは、このような潜水士になるまでの道のりを紹介します。

STEP01 潜水研修の研修員としての選抜

海上保安大学校又は海上保安学校を卒業後、巡視船艇で勤務し、一定の現場経験を積んだ海上保安官の中から、本人の希望、身体検査等の選考を経て、潜水研修の研修生として選抜されます(年2回)。なお、研修員は各管区から若干名ずつ選抜されます。


潜水研修の選考基準

● 本人の希望・適性

● 年齢(研修実施年度の4月1日現在で、30歳以下)

● 健康診断結果(裸眼視力両眼0.6以上、握力30kg以上、呼吸器、循環器に異常がないことなど)

● 水泳能力

 イ 一呼吸により約23mの水平素潜りができること。

 ロ 約300mの水泳ができること。

STEP02 潜水研修の受講

研修生に選抜された後、海上保安大学校で約2ヶ月間、寮生活を送りながら潜水研修を受講し、潜水に必要な知識・技術を身に付けます。

研修内容は、座学(潜水学、潜水医学等)と潜水実習(スクーバ潜水法、生存者救助法等)から構成されます。

潜水実習について
1 プール実習
プール実習

素潜りや呼吸停止などの基本技能や、初歩的な潜水技術を修得します。

2 転覆船内実習
転覆船内実習

模型転覆船を用いて、捜索、救助などの訓練を行います。

 

プール実習及び転覆船内実習を終えた後には、潜水に関する技術、知識及び適性等を測定するために、潜水能力検定が実施されます。この検定において、一定の成績を修めることも研修修了の条件の一つです。

 
3 慣海実習
慣海実習

大学校前の海域で、機器の取扱訓練や夜間訓練を実施します。

4 海洋実習
海洋実習

沖合海域にて、総合的かつ実践的な技能を身に付けます。

潜水実習について

このような厳しい実習等を経て、各研修生は修了式を迎えます。

STEP03 潜水士として活躍

潜水研修を修了し、潜水士国家試験に合格すると、「潜水指定船」に配属され潜水士として任命されます。その後は、船艇勤務を行いながら、海難救助にあたります。

さらに、潜水士として一定の経験を積んだ後は、本人の希望と適性により、機動救難士特殊救難隊員として、より高度な海難救助活動に従事する道もあります。

潜水士として活躍
潜水士として活躍