海上保安レポート 2012

はじめに


TOPICS 海上保安の一年


特集 東日本大震災


海上保安庁の任務・体制


■本編

1 治安の確保

2 領海等を守る

3 生命を救う

4 青い海を守る

5 災害に備える

6 海を知る

7 交通の安全を守る

8 海をつなぐ


目指せ! 海上保安官


語句説明・索引


図表索引


資料編

海上保安庁の任務・体制
海上保安庁の任務・体制
海上保安庁の任務・体制

我が国周辺海域では、依然多くの事件や事故が発生しています。海上保安庁では事件・事故の未然防止、取締り、海難救助等の様々な業務を的確に実施することでこれらに対応しています。

また、これらの業務に加え、近年の我が国を取り巻く情勢の緊迫化や海洋政策の推進を背景に海上保安庁の業務の重要性は日増しに高まっており、海上保安庁の体制についても、質的・量的な充実強化が急務です。

ここでは、海上保安庁の任務・体制について説明します。

1 海上保安庁の任務

海上保安庁は、海上保安庁法をはじめとする関係法令に基づき「海上の安全及び治安の確保を図ること」を任務としています。この任務を遂行するため、国内関係機関や関係国との連携・協力体制の強化を図りつつ、海難救助、治安の確保、海洋環境の保全、災害への対応、船舶の安全かつ円滑な航行の確保、海洋調査による海洋情報の収集及び提供等の様々な業務を行っています。

2 機 構

海上保安庁は国土交通省の外局として設置されており、本庁(東京都)の下に、全国に管区海上保安本部、海上保安部等を配置し、一元的な組織運用を行っています。


◆ 本 庁

本庁には、長官の下、総務部、装備技術部、警備救難部、海洋情報部、交通部の5つの部を設置しています。本庁は、基本的な政策の策定、法令の制定や改正、他省庁との調整など、海上保安行政全体の舵取りを行っています。


◆ 管区海上保安本部

海上保安庁は、広大な海を活動の場としており、いつ、どこで発生するか分からない様々な事案に迅速かつ的確に対応する必要があります。そのため、日本全国を11の管区に分け、地方支分部局である管区海上保安本部をそれぞれ設置し、担任水域を定めています。管区海上保安本部には海上保安部、海上保安署、航空基地等の事務所を配置し、巡視船艇や航空機等を配属しています。それらの事務所では、海上における治安の維持や海難救助、船舶交通の安全確保等の現場第一線の業務にあたっています。

なお、東日本大震災のような大規模事案発生時には、巡視船艇・航空機等を全国から派遣するなど、担任水域にとらわれない効率的な運用を行っています。


◆ 教育訓練機関

海上保安庁では、海上保安官の養成、教育訓練を行う機関として、海上保安大学校と海上保安学校を設置しています(詳しくは「目指せ!海上保安官」をご覧ください。)。


■機構図(平成24年4月6日現在)
機構図(平成24年4月6日現在)

■管区海上保安本部担任水域概略図
管区海上保安本部担任水域概略図
3 定員・組織・予算
◆ 定 員
■平成24年度における増員の内容
平成24年度における増員の内容

平成23年度末現在、海上保安庁の定員は12,671人(うち女性職員555人)であり、このうち、管区海上保安本部等の地方部署は11,083人となっています。また、巡視船艇・航空機等には6,031人の海上保安官が乗り組み、現場第一線で業務に従事しています。平成24年度には、防災体制の強化、海上警察権の強化、情報管理体制の強化、航空機安全対策の推進に必要な体制を構築するため、右図のとおり275人の職員を増員しました。

◆ 組 織

平成24年度には、東日本大震災からの復興及び震災の教訓を踏まえた防災体制の強化のため、本庁交通部整備課に「航路標識災害対策官」及び第二管区海上保安本部警備救難部に「環境防災課」を設置しました。

また、海上警察権の強化に対応した海上保安体制の整備の一環として、本庁警備救難部警備情報課に「警備情報調整官」、及び第一・第二管区海上保安本部警備救難部に「警備情報課」を設置しました。

さらに、情報管理体制の強化のため、第一〜第十管区海上保安本部総務部及び第十一管区海上保安本部に「情報管理官」を、第三〜第七管区海上保安本部総務部に「情報通信課」を設置しました。

◆ 予 算
■平成24年度の予算の重点事項
平成24年度の予算の重点事項

平成24年度の海上保安庁の予算額は1,780億円となっています。また、平成23年度の第一次補正予算では166億円、第三次補正予算では243億円、第四次補正予算では33億円がそれぞれ計上されています。


■平成24年度の予算
平成24年度の予算
4 装 備
■平成24年度巡視船艇・航空機の整備状況
平成24年度巡視船艇・航空機の整備状況

海上保安庁では、平成23年度末現在、448隻の船艇、73機の航空機を保有しています。(種別については、資料編の「船艇」をご覧ください。)

一方で、このうち昭和50年代に集中的に整備された巡視船艇・航空機は、老朽・旧式化により、各種業務の遂行に支障が生じていることから、速力、捜索監視能力等の向上を図った船艇等への代替整備等を進めていく必要があります。

また、我が国を取り巻く国際情勢を踏まえた海上警察権の強化や、東日本大震災の教訓を踏まえた防災体制の強化を図るため、災害対応能力、荒天下での航行能力、夜間捜索監視能力等を備えた1,000トン型巡視船や荒天下での飛行能力、航続性、夜間捜索監視能力等を備えたヘリコプターの整備を重点的に推進することとしています。これら以外の老朽・旧式化した巡視船艇・航空機についても、必要性を見極めながらその整備を進め、海上保安体制の強化を図っていきます。

なお、平成23年度には、11隻の巡視船艇及び6機の新型航空機が就役しており、平成24年度についても引き続き、船型・機種等の統一化等により、調達コスト等の低減を図るなど、国民負担の抑制に努めながら、巡視船艇・航空機等の整備を進めていきます。

巡視船「もとぶ」の進水
▲巡視船「もとぶ」の進水
ヘリコプターの解役・就役
▲ヘリコプターの解役・就役
5 監 察

海上保安官は、国民の視点に立った公正かつ効率的な行政の運営を行うこと、司法警察職員としてより厳正な規律を保持することが求められることに加え、危険性が高い特殊な環境で業務を迅速かつ的確に遂行しなければならないため、安全に関する高い意識が求められます。このため、海上保安庁では、本庁に首席監察官、各管区海上保安本部に管区首席監察官を設置し、厳正に庁内の監察を行っています。具体的には次のような監察を実施しています。

● 業務の改善や適正な運営を図るために、毎年度監察項目を定めて調査を行う業務監察

● 事故や職員の不祥事の発生時に事実関係の確認や原因の究明・分析を行う事故監察

こうした調査の結果から問題点及び改善すべき事項を明らかにし、職場・業務環境の改善向上を図ることにより、事故の再発防止や厳正な規律の維持等に努めています。

6 政策評価

海上保安庁では、「行政機関が行う政策の評価に関する法律」等に基づき、政策評価を実施しています。平成23年度は、

(1) 薬物・銃器密輸事犯の摘発件数

(2) 海上及び海上からのテロ活動による被害の発生件数

(3) 海難及び船舶からの海中転落による死者・行方不明者数

(4) ふくそう海域における航路を閉塞するような大規模海難の発生数

の4つの指標について、平成22年度の実績を評価しました。

この結果、(2)、(3)、(4)の指標については、目標達成が明らかとなりました。今後も引き続き現状の施策を推進していきます。

一方、(1)の指標については、未達成であったことから、評価の結果明らかとなった今後の取組みの方向性を、政策の企画立案に適切に反映させていきます。

さらに、個別の公共事業や研究開発事業等について、新規事業採択時に評価等を実施しました。その中の一つとして、9月16日、事業の一層の透明性確保を目的に、学識経験者等で構成される「船舶建造等整備事業評価委員会」を開催し、事業の必要性や緊急性等についての審議を行い、その結果を平成24年度予算概算要求に反映させました。

そのほか、海上保安庁は「中央省庁等改革基本法」に基づき、国土交通大臣による目標設定及び実績評価を行う実施庁評価の対象にもなっています。

海上保安庁は、今後も、政策評価、実施庁評価を通し、国民の皆様への行政の説明責任を徹底し、質の高い行政サービスの提供を引き続き目指していきます。

7 広 報
うみまるとうーみん

海上保安官の活動の場は、国民の皆様の目に触れることが少ない海上であるため、業務に対する理解を深め、協力いただく上で、広報活動は大変重要な役割を果たします。そのため、

● 積極的なプレスリリースの実施

● 全国各地でイベント等の開催、海上保安庁音楽隊の演奏会を通じたPR活動

● インターネットを利用した情報発信や動画配信による情報提供

等の様々な取組みを行っています。

海上保安庁音楽隊第18回定期演奏会
▲海上保安庁音楽隊第18回定期演奏会
2011海保フェアin立川
▲2011海保フェアin立川

◆ お問い合わせ

海上保安庁に関するお問合せは、総務部政務課政策評価広報室までお願いします。皆様からいただいたご意見・ご質問は、海上保安庁の活動をより良くするために活用していきます。

Japan Coast Guard海上保安庁

〒100-8918 東京都千代田区霞が関2-1-3
TEL:03-3591-6361

e-mail : shitsumon-x2mm@kaiho.mlit.go.jp


◆ ホームページ

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