海上保安庁では、海上交通ルールの設定と遵守指導、AIS(船舶自動識別装置)を用いた航行支援システムの適切な運用等を行い、ふくそう海域や港内における海上交通の安全確保を図っています。
特に、ふくそう海域における航路を閉そくするような大規模海難の発生を防止し、その発生数をゼロとすることを目指しています。
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7 交通の安全を守る
ChapterII ふくそう海域・港内の安全対策
海上保安庁では、海上交通ルールの設定と遵守指導、AIS(船舶自動識別装置)を用いた航行支援システムの適切な運用等を行い、ふくそう海域や港内における海上交通の安全確保を図っています。 特に、ふくそう海域における航路を閉そくするような大規模海難の発生を防止し、その発生数をゼロとすることを目指しています。 ふくそう海域での船舶海難隻数は994隻と、全体の約4割を占めており、過去10年では、ほぼ横ばいで推移しています。ひとたび、ふくそう海域において海難が発生すれば、通航量の多い航路を閉そくしてしまうなど、その影響は大変大きなものとなります。 海上保安庁では、ふくそう海域での海上交通の安全を確保するため、各種取組みを実施しました。 1 港則法及び海上交通安全法の一部改正 船舶交通がふくそうする東京湾、伊勢湾及び瀬戸内海並びに港内においては、基本的な海上交通ルールである「海上衝突予防法」の特別法として「海上交通安全法」及び「港則法」を定めており、これらの法令を適切に運用することで海上交通の安全確保を図っています。 また、東京湾、伊勢湾、瀬戸内海及び関門海峡に、海上交通センターを設置しています。同センターでは、航行船舶の動静を把握し、船舶の安全な航行に必要な情報の提供や大型船舶の航路入航間隔の調整を行うとともに、航路及びその周辺海域に常時配備している巡視船艇との連携により、不適切な航行をする船舶に対する指導等を実施しています。 平成22年7月、港則法及び海上交通安全法の一部を改正する法律(平成21年7月公布)が施行されました。この法律の施行にあたり、船舶の操船者等に新たに制度の主旨及び内容を理解していただくため、日本語、英語、中国語、韓国語及びロシア語による計5か国語でのパンフレットを発行・配布したほか、ホームページにも同パンフレットを掲載するなど、幅広い周知に努めました。 また、この改正により、海上交通センターの運用管制官が行う業務内容が拡大・高度化されたことに対応するため、訓練用シミュレータによる運用管制官に対する研修の充実を図るとともに、運用管制官に対する指導・監督を行う統括運用管制官を配置し、体制の強化を図りました。
2 航路標識等の整備 (1)港内管制システムの高度化
これまで、港内の管制水路においては、船舶交通の安全確保を図るため、信号により一定トン数以上の船舶について一律に行き会いを禁止する管制を実施してきました。 しかし、AISの活用により、船舶の動静をリアルタイムに把握できるようになったことから、行き会い可能な船舶を個別に判断し、管制水路を航行する船舶の長さに応じた交通整理を実施するための港内管制システムを順次導入しています。 平成22年度は、京浜港横浜区、京浜港東京区、千葉港及び鹿島港で運用を開始しました。
(2)航路標識の高度化
ふくそう海域における海上の航路標識の視認性、識別性の向上を図るため、従来の灯浮標から、波などによる動揺や振れ回りの小さい浮体式灯標への更新を進めており、平成22年度末までに166基(計画のおよそ9割)の更新が終了しました。 (3)潮流信号システムの高度化
利用者の視認性、識別性及びシステムの信頼性の向上を図るため、来島海峡の潮流信号システムについて、電光表示による信号方式への統一を進めています。 |