海上保安レポート 2010

はじめに


TOPICS 海上保安の一年

特集


海上保安庁の任務・体制


治安の確保

領海等を守る

生命を救う

青い海を護る

災害に備える

海を識る

交通の安全を守る

海を繋ぐ


目指せ!海上保安官


語句説明・索引


図表索引


資料編


01 治安の確保 > CHAPTER6 テロ対策
01 治安の確保
CHAPTER6 テロ対策

グローバル化が進む中で、世界各国においてテロとの闘いが依然続いています。我が国においても、テロの未然防止は取り組み続ける必要がある重要な課題です。

中でも、海上輸送の要になる国際港湾や沿岸部に設置されることの多い原子力発電所に対するテロの脅威を水際で防御していくための対策の推進に力を入れています。

平成21年の現況
巡視船による原子力発電所周辺の警戒
巡視船による原子力発電所周辺の警戒

横浜港水際危機管理対応訓練における追跡捕捉訓練
横浜港水際危機管理対応訓練における追跡捕捉訓練

平成21年には、海外で再処理されたMOX(ウラン・プルトニウム化合酸化物)燃料の日本への返還輸送が実施され、海上保安庁では、テロリストによる強奪等を未然に防ぐため、万全の準備態勢を確保し厳重な海上警備を行いました。

このほか、臨海部の原子力発電所、石油コンビナート等の危険物施設、米軍施設等について、海上からのテロに備え、巡視船艇・航空機による監視・警戒を行いました。また、ゴールデンウィークや夏休み、年末年始といった旅客の移動が活発となる期間には、人が多く集まる旅客ターミナルの警戒を重点的に実施しました。

このほかにも、「国際航海船舶及び国際港湾施設の保安の確保等に関する法律(国際船舶・港湾保安法)」に基づき、入港する船舶に対して立入検査等を実施しています。平成21年においては、船舶に義務付けられた自己警備のための保安措置が的確に講じられているかを調査するため4,123隻の船舶に対して立入検査を実施しました。そこでは、テロが発生するおそれの有無について確認を行った結果、問題のある船舶は認められませんでした。

国際港湾においては港湾危機管理(担当)官を中心に関係機関等と連携して、水際対策が実施されています。特に、横浜では平成22年度にAPEC(アジア太平洋経済協力)首脳会議の開催が予定されていることから、平成21年11月には、横浜海上保安部を含む11機関が参加し、テロを想定した、横浜港水際危機管理対応訓練を実施しました。

テロの未然防止のためには、関係機関はもとより、民間との連携が重要であり、海上保安庁では、海事関係者や事業者等に自主警備の強化を働きかけるとともに、不審情報の提供依頼等を行い、地域と連携した取組みを強化しています。

今後の取組み

海上保安庁では、全国の警備実施等強化巡視船をはじめとする巡視船艇・航空機により、各種訓練等を行い、さらなる対処能力の向上に努め、今後とも国内外のテロ情勢に応じた対策や現場要員の確保を推進し、関係機関と緊密な連携を図りながらテロの未然防止に取り組んでいきます。

特に、平成22年度においては、日本においてAPECが開催される予定となっています。このため海上保安庁では、「海上保安庁APEC海上警備対策準備本部」を設置してAPECに伴う海上警備に関する準備を的確に進めています。首脳会議が開催される横浜市をはじめ、臨海部関連施設等における海上警備に万全を期すため、関係省庁と連携を強化しつつ、海上における安全確保のため、適切な海上警備を実施します。