海上保安レポート 2009
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はじめに


TOPICS 海上保安の一年

特集


海上保安庁の任務・体制


■本編

治安の確保

領海等を守る

生命を救う

青い海を護る

災害に備える

海を識る

交通の安全を守る

海を繋ぐ


目指せ!海上保安官


語句説明・索引


図表索引


資料編


本編 > 治安の確保 > 2. 国内密漁対策
治安の確保
2. 国内密漁対策
目標
 我が国周辺海域の豊かな水産資源は決して無尽蔵ではありません。漁獲量や操業期間に制限をかけるなどのルールが設定され、これに従い操業することにより、資源を取りつくさないようにしています。しかしながら、一部の漁業者による違法な操業や資金確保を目論む暴力団等による水産資源の乱獲が行われています。
 海上保安庁では、地域の漁業者や関係機関と連携して徹底した監視取締りを行い、密漁事犯の根絶を目指します。
平成20年の現況
密漁漁獲物(なまこ)
▲密漁漁獲物(なまこ)
密漁船
▲密漁船

平成20年の密漁事犯の送致件数は1,886件で、前年に比べ117件増加しました。平成20年の密漁事犯の特徴としては、5月に唐津海上保安部(佐賀県)が、潜水器を 使用してさざえ等の密漁を繰返していたグループ5名を逮捕した事例等に見られるように、あわびやさざえ、なまこといった高額な海産物を狙った密漁について、犯罪の悪質・巧妙化と再犯性が進んでいることが挙げられます。このように悪質な密漁が後を絶たない一因として、これまでの漁業調整規則は、罰則の上限が低いので、密漁で得られる利益に比べて違反者に科される刑罰が低く、犯罪の抑止力が弱かったことが挙げられていました。このような状況に対応するため、平成19年6月に漁業法及び水産資源保護法が改正され、知事許可漁業の無許可操業など悪質な違反に対する罰則が強化されました。この改正で6月以下の懲役又は10万円以下の罰金であった罰則が、3年以下の懲役又は200万円以下の罰金に引上げられました。唐津海上保安部による密漁グループの逮捕は、改正漁業法を適用したはじめての逮捕事案となりました。

密漁に使用された潜水器等
▲密漁に使用された潜水器等
今後の取組み
●国内密漁事犯の推移
国内密漁事犯の推移

複数クルー制の拡充により取締り体制や情報収集体制の強化を図るとともに、暗視撮影装置など監視取締り資器材の活用などにより現場鑑識能力の向上を図り、悪質・ 巧妙化する事犯に対処していきます。

また、関係機関や漁業関係団体との強固な連携・協力体制のもと、さらなる密漁防止対策の強化を行います。さらに、地域の特性に応じた総合的な密漁対策を推進し、 「密漁船が活動し難い環境」の構築に努めます。