日本は、エネルギーなどの資源の大部分を輸入しており、国際貿易は経済や国民生活にとって重要な役割を果たしています。国際貿易を支える海上輸送路は、我が国の繁栄と発展に不可欠であり、特に多くの日本関係船舶が通航するマラッカ・シンガポール海峡の安全確保と治安維持は、我が国にとって極めて重要です。また、年間約2万隻(うち約2千隻が日本関係船舶)が通航するソマリア沖・アデン湾の海域は、欧州や中東から東アジアを結ぶ海上輸送路の要衝であり、同様に安全確保と治安維持は極めて重要です。
近年、海上輸送の安全を脅かす海賊・海上武装強盗(以下「海賊」という。)問題への対応は、航行の安全を確保する上で極めて重要となっています。特集3においては、海上保安庁が今まで東南アジア周辺海域において取り組んできた海賊対策と、昨今、急激に海賊被害が増加してきているソマリア沖・アデン湾における新たな海賊対策についてご紹介したいと思います。