我が国は、四方を海で囲まれ、海の恩恵を大いに受けています。しかしこの海は、不審船のはいかい、密輸・密航や海難の発生等、様々な問題を抱えています。
海上保安庁は、昭和23 年の創設以来60 年以上にわたり、様々な対策を講じ必要な体制を整えることにより、日本の海の安全を作り上げています。ここでは、海上保安庁の任務がどのようなものか、またどのような体制で業務を遂行しているのかについて説明します。
|
海上保安庁の任務・体制
海上保安庁の任務・体制
我が国は、四方を海で囲まれ、海の恩恵を大いに受けています。しかしこの海は、不審船のはいかい、密輸・密航や海難の発生等、様々な問題を抱えています。 海上保安庁は、昭和23 年の創設以来60 年以上にわたり、様々な対策を講じ必要な体制を整えることにより、日本の海の安全を作り上げています。ここでは、海上保安庁の任務がどのようなものか、またどのような体制で業務を遂行しているのかについて説明します。 1. 海上保安庁の任務
海上保安庁は、「海上の安全及び治安の確保を図ること」を任務としています。この任務の達成のため、関係機関や関係国との連携・協力体制の強化を図りつつ、海 難救助、治安の確保、海洋環境の保全、災害への対応、船舶の安全かつ円滑な航行の確保、海洋調査による海洋情報の収集及び提供等様々な業務を実施しています。 海上保安庁法(昭和23年法律第28号)(抄)
(第二条第一項)海上保安庁は、法令の海上における励行、海難救助、海洋の汚染の防止、海上における犯罪の予防及び鎮圧、海上における犯人の捜査及び逮捕、海上における船舶交通に関する規制、水路、航路標識に関する事務その他海上の安全の確保に関する事務並びにこれらに附帯する事項に関する事務を行うことにより、海上の安全及び治安の確保を図ることを任務とする。 2. 機構
海上保安庁は、本庁(東京都)を中核として全国に管区海上保安本部、海上保安部等を配置し、一元的な組織運用を行っています。
本庁には長官の下に総務部、装備技術部、警備救難部、海洋情報部、交通部の5つの部局を置いています。本庁は、基本的な政策の策定、海上保安業務に関する法令の制定 や改正、他省庁との調整を行うなど、海上保安行政の「舵取り」役を担っています。 地方については全国を11の海上保安管区に分け、それぞれに管区海上保安本部を設置し担任水域を定めています。各管区海上保安本部には海上保安部、海上保安署や航空基地等の事務所を配置しており、これら現場第一線においては治安の維持や海難救助、船舶交通の安全確保等に日夜努めています。また大規模事案発生時には、勢力を集中的に投入するなど、担任水域にとらわれない柔軟な運用にも努めています。 さらに海上保安庁では、海上保安大学校(広島県)や海上保安学校(京都府)等の教育機関を設置しています。そこでは未来の海上保安官が、海上保安業務に必要な学 術や技能を学び、あわせて心身の練成を図っています。(詳しくは、目指せ!海上保安官 - 海上保安大学校をご覧ください。)
3. 監 察
海上保安庁は、国の機関として国民の視点に立った公正かつ効率的な行政の運営を行う義務を負うとともに、海上保安官は国家公務員であると同時に司法警察職員と して、より厳正な規律の保持が求められます。また一方、危険性が高い特殊な環境で海上犯罪の取締り、海難救助等を迅速かつ的確に遂行しなければならないため、より一層の安全の確保が求められます。 このため海上保安庁では、監察制度を設け、
を実施し、職場及び業務環境の改善を進めることにより公正かつ効率的な行政運営に努めるとともに、事故や不祥事の未然防止を図り職員の厳正な規律の維持と安全確保に努めています。
4. 定員・組織・予算
平成20年度末現在、海上保安庁の定員は12,504人(前年度末比+93人)であり、うち416人の女性職員が働いています。また、管区海上保安本部等の地方部署には 10,955人、巡視船艇・航空機等には5,793人の海上保安 官が乗り組み、現場第一線で業務に従事しています。 現在海上保安庁では、年間を通じて時間帯により差のない巡視艇の緊急出動体制の確保のため「空き巡視艇ゼロ」を目指した巡視艇の複数クルー制の拡充など海上保 安体制の強化に努めています。平成21年度には、海上における治安を確保するための現場要員を中心に増員が認められました。また、海上保安業務執行体制の強化を図るため第一〜第十管区海上保安本部警備救難部に次長を設置したほか、交通ビジョンを踏まえた業務執行体制を強化するため、本庁交通部安全課に交通管理室を設置するなどの組織改正をしています。 なお、平成21年度の海上保安庁の予算額は1,824億円であり、国民一人あたりでは約1,430円の負担となっています。 海上保安庁では、引き続き、業務の適正化、効率化に努め、無駄のない業務遂行を目指していきます。
5. 巡視船艇・航空機等の整備
海上保安庁は、平成20年度末現在455隻の船艇、73機の航空機を保有し、広大な海域における様々な海上保安業務を遂行しています。(船艇・航空機の種別については、資料編 - 船艇をご覧ください。) 現在海上保安庁では、老朽・旧式化した巡視船艇・航空機について、速力、捜索監視能力等の向上を図った船艇等への緊急かつ計画的な代替整備を進めています。平 成20年度には27隻の巡視船艇及び5機の航空機を導入しました。平成21年度についても引き続き、船型・機種等の統一化、随意契約の見直し等により、調達コストの低減を図るなど、国民負担の抑制に努めながら、巡視船艇・航空機等の整備を進めていきます。 1.巡視船艇の整備
巡視船艇には、ヘリコプターを搭載し遠方海域において捜索救助活動を行うものから、港内等の沿岸海域で監視・警戒や捜索救助にあたるもの等、様々な種類があります。 これらのうち、ヘリコプター搭載型巡視船については、代替コスト縮減等のため長期使用することとし、このために必要な船体等の老朽化対策工事を施すとともに、現在の業務ニーズに対応できるよう旧式化した装備等の高機能化を図ることとしています。 また、その他の巡視船艇については、海洋権益の保全、領海警備、大規模災害に対する救助体制の強化、密輸・密航や密漁等の犯罪取締り、沿岸水域の監視警戒体制強 化等のため、速力、操縦性能、捜索監視能力等の向上を図った船艇への代替整備を進めています。
2.航空機の整備 我が国の周辺海域のパトロールや監視取締り等が継続的に実施できる体制を構築するため、航続性能、捜索監視能力に優れた飛行機の整備を進めています。また、大 規模災害や海難に対する捜索救助体制等の強化のため、夜間捜索監視能力を備えたヘリコプターの整備を進めています。 平成20年度においては、老朽・旧式化が進んだ飛行機「YS11A」等の代替機として「ボンバル300」を就役させるなど、業務執行体制の強化を図りました。
3.基地施設の整備
巡視船艇・航空機の能力を十二分に発揮させるため、基地機能を充実強化した船艇・航空機基地施設の整備を進めています。平成20年10月1日には、24時間運用を行う中部国際空港(愛知県)に中部空港海上保安航空基地を設置しました。航空基地と海上保安部署の機能を併せ持つ海上保安航空基地は、関西空港海上保安航空基地(大阪府)に次いで2番目となります。
6. 広報
昨今、海上保安官の幅広い活動がテレビや新聞等のマスメディアに多く取り上げられており、国民の皆さんの注目を浴びる機会が一層増えていると感じます。 海上保安庁は、国の行政機関として適正な業務の遂行を実施する上で、国民の皆さんに
などの様々な取組みにより、海上保安庁の活動を正しく 理解、評価していただけるよう努めています。 海上保安庁に関するお問合せは、総務部政務課政策評価広報室までお願いします。皆さんからいただいたご意見・ご質問は、海上保安庁の活動をより良くするために活用していきます。 〒100-8918 東京都千代田区霞が関2-1-3
TEL:03-3591-9780(FAX兼用) e-mail:shitsumon@kaiho.mlit.go.jp 海上保安庁ホームページ http://www.kaiho.mlit.go.jp/
「うみまる」、「うーみん」 国民の皆さんにより一層親しまれ、愛される海上保安庁とするため、明るくさわやかで、親しみのあるタテゴトアザラシの子どもをモチーフとしたキャラクターとして、「うみまる」(兄)、「うーみん」(妹)が活躍しています。また、地域独自の「うみまる」・「うーみん」も、それぞれの地域で活躍しています(コラム2 「うみまる弁慶」誕生!をご覧ください)。 海上保安庁音楽隊結成20周年!
国民の皆さんに海上保安庁のことをより一層知っていただくことを目的に結成された海上保安庁音楽隊は、結成20周年を迎えました。 昭和26年、旧海軍軍楽隊員を中心として海上保安庁音楽隊が組織されましたが、翌年海上警備隊(現海上自衛隊)の設立とともに同隊に移管されたため、36年もの間、海上保安庁に音楽隊は存在していませんでした。しかしながら、幾度にもわたる音楽隊設立に向けた検討とその機運の高まりを背景に、昭和63年4月1日、海上保安庁創設40周年を契機として再結成され、今では広報活動の第一線で地道な活動を続けています。 海上保安庁音楽隊は全員、海上保安業務と音楽隊業務を兼務している海上保安官であり、音楽隊への入隊前は、海上でのレスキューや捜査活動など現場第一線で活躍していた者たちで構成されています。音楽隊の持ち味は、厳しくも使命感あふれる環境でつちかわれた海上保安官魂に裏打ちされたアットホームな演奏であり、各イベントでの コンサートでは、演奏のみならずライフジャケットの着用や「海のもしもは118番」などを呼びかけ、海上保安庁の活動を広く正しく理解していただくために趣向をこらした演出でPRしています。 記念すべき結成20周年には、海上保安庁音楽隊員と米国沿岸警備隊音楽隊員の交流から実現した「夢の共演。海上保安制度創設60周年記念演奏会」を開催しました。海上保安庁では、米国沿岸警備隊音楽隊を我が国ではじめて招へい、平成20年11月28日、29日の両日合わせて約3,000人を招待し、息の合った演奏を披露し大盛況のうちに幕を閉じ ました。また、この記念すべき演奏会で海上保安庁音楽隊の演奏実績も500回を達成しました。 20年の時を経た音楽隊は、これからも海上保安官魂を胸に、国民の皆さんと海上保安庁とを結ぶ「かけ橋」として熱い演奏とPR活動を行っていきます。
海猿、密航猿を捕獲!
平成20年9月27日、「入港中の外国船船内に猿が迷い込んで出港できない。どうにかしてほしい。」との連絡が小浜海上保安署(福井県)に入りました。 同海上保安署はただちに海上保安官を現場に派遣し猿の制圧にあたりました。猿を刺激しないように制圧を試みるものの、船内を壁づたいに逃げ回る猿に悪戦苦闘。制圧開始から40分後にようやく捕獲に成功し、外国船も無事出港することができました。
|
|||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||