海上保安レポート 2004

●はじめに


■TOPICS 海上保安の1年


■特集1 海洋権益の保全とテロ対策

■特集2 海保の救難

1 自然災害への対応

2 海保の救助要員


■本編

治安の確保

生命を救う

青い海を護る

災害に備える

海を識る

航海を支える

海をつなぐ連携


海上保安庁の業務・体制


海を仕事に選ぶ


海保の新戦力


その他


資料編


 
特集2 > 海保の救難 > 2 海保の救助要員 > 1 潜水士
潜水士
うーみんうーみん
「まずはさっき言ってた潜水士ね。
海に潜ってお仕事をする海上保安官、というのでいいのかしら」
うみまる
「それほど簡単じゃないぞ。まずは約2ヵ月、きびし〜い訓練に耐えなければいけません。」
うみまるうーみん
「泳ぎは得意だから大丈夫!」
うみまる
「研修が終わっても難しい国家試験が待ってるけど?」
うーみん
「うっ・・・お兄ちゃんの意地悪。」
うみまる
「この研修を耐え抜いた人だけが“海上保安庁のロゴを背負った潜水服を着ることができるんだ。それに、この後紹介する機動救難士や特殊救難隊員も潜水士から選抜されるんだよ。まずは潜水士にならないと、ということだね。」
任 務
潜水士
▲潜水士
 救難強化巡視船*1等に乗り組む潜水士は、通常、他の海上保安官と同様に、これらの巡視船艇の乗組員として海上保安業務に従事していますが、水中での救助活動を必要とする海難が発生した場合には、「潜水士」として、その知識、技術を駆使し、人命救助等に当たります。
沿 革
 海上保安庁では海難救助能力の向上のため、昭和30年代から潜水技術の導入を検討してきました。昭和40年代に入り船舶の転覆海難が連続して発生したことを受け、昭和45年から、潜水に関する専門的な研修を受けた要員を、巡視船に配置し、潜水業務の本
格運用が開始されました。
人 選
 潜水士になるためには、海上保安大学校で行われている「研修科潜水技術課程(潜水研修)」(研修期間:約2ヶ月)を修了し、国家試験に合格しなければなりません。研修生は、潜水士を希望する全国の海上保安官の中から、年齢、健康状態、体力、泳力等の適性を考慮して選抜されます。

訓 練
 潜水士は、多様な海難現場を想定したうえで、ヘリコプターと連携した吊り上げ救助、レンジャー技術、救急処置等様々な訓練を行い、救助活動において必要とされる知識の習得と、技術の研鑽に努めています。また、救助機関と合同潜水訓練を行い、救助機関相互の連携に努めるとともに、レジャーダイビング団体等への安全指導を行い、安全なレジャー潜水の普及にも寄与しています。
 また、救助作業を実施するうえで必要な能力を維持するため、定期的に潜水訓練を行っています。この訓練では、海難救助作業に必要な基礎体力及び泳力並びに自給気潜水技術を維持するとともに、転覆船内等潜水士の行動が制限される場所における人命救助作業、水中視界が悪い状況下における潜水捜索のための訓練を行っています。
 また、ヘリコプターからの降下(ホイスト降下*2)、器材を用いた吊り上げ救助の訓練を定期的に実施し、技術の維持を図っています。

訓練の様子 訓練の様子
▲訓練の様子

ホイスト降下
▲ホイスト降下