「お兄ちゃん、海上保安官は海で事故が起こった時はどんなことをするの?」
うみまる
「うーん、しなければならないことはたくさんあるけど、まずは船や飛行機で事故が起きた場所にかけつけて、人や船を助けるんだよ。」
うーみん
「あ、知ってる。海難救助っていうのよね。」
うみまる
「よく知ってるじゃない。今日はその海難救助でみんなの活躍している写真をもらってきたから見てごらん。」
「この写真、よく見るとヘリコプターから人がぶら下がってる。みんなこんなこ
とができるの?」
うみまる
「いいや。こういうことができるのは何回も訓練を重ねて専門の知識や技術を持っている海上保安官だけなんだ。」
うーみん
「すご腕の海上保安官ということなのね。あ、こっちの写真は海に潜ってるわ。これもお仕事なの?」
うみまる
「そうだよ。僕たち海上保安官の中にだって趣味でダイビングをする人もいるけど、遭難した人を助けるために海に潜るためには厳しい訓練を受けて潜水士にならなければならないんだ。うーみんも訓練に参加してみたいかい?」
うーみん
「潜水士?その人も海上保安官なのよね。今度訓練に挑戦してみるわ。泳ぐのは得意だから。こっちはヘリコプターの中ね。この人は何をしているの?」
うみまる
「この人は救急救命士っていうんだ。救助した人の命を救うためにヘリコプターの中で一般の海上保安官ではできないことをすることができるんだよ。」
うーみん
「みんなすごいのねぇ。海で事故が起きてもいろいろな人の活躍のおかげで助かる人が多くなるということなのね。お兄ちゃん、もっと教えてちょうだい。」
うみまる
「ということで、日夜海難救助に従事する海上保安庁の救助要員を紹介します。」
ところで、昔から言われている言葉ですが「板子一枚、下は地獄」という表現をご存じでしょうか。かつて船は木造であり、その船底の板一枚の下は場合によっては大時化の海、その板一枚が船乗りの命を守っている、という海の厳しさと船乗りの死と隣り合わせの状況を表現した言葉です。
現在はほとんどの船の材料が金属となり、船体も大型化してきたため以前より船自体の安全性が向上し、この言葉のように海に出ることが、直ちに命の危険につながるというようなことは少なくなってきました。
しかし、自然の力は大きく、時には凶暴な牙をむくこともあり、海上での危険をすべて排除することは困難です。
近年、日本周辺の海域においては、年間約3,000隻、約12,000名の乗船者が海難に遭っています。海上保安庁では、このような海難に遭遇した乗船者や船舶を救助するため、巡視船艇・航空機を全国に配備して海難に備え、事故発生時には直ちに出動して人命・財産を守っています。この中でも、危険物積載船等の火災や爆発を食い止めたり転覆船内からの潜水士による生存者救助などのように、通常の救助技術で対応することができない場合には、困難な条件下においても救助する能力を有する潜水士、機動救難士及び特殊救難隊などの救助要員が、現場へ急行し、持てる経験、知識、技術のすべてを活用して対応します。本特集では、このような海上保安庁の救助要員を紹介します。