上空から見た被災地は想像を超える有様であり、乗員一同絶句。
着陸場所を探すと「SOS」と書かれた東山小学校のグラウンドを発見した。
狭あいな谷間を縫うように飛行し、着陸のために進入しつつ見下ろすと、そのグラウンドには多数の地割れ、段差に加え校庭の周りにはフェンスが張り巡らされており、着陸をちゅうちょした。
ひとまず、レスキューホイストで乗員を降下させて状況調査を実施し、そこにいた孤立者2名を吊り上げて救助したが、次に運ばれてきたのは寝たきりの老人だった。
「地盤がかなり緩んでいる。ヘリコプターの重量に耐えられるか!?」
しかし、救助者の状態を考えると着陸しての救助が最善だ!
…「よし、着陸しよう」
細心の注意を払いつつ着陸する。機体が若干傾く……救助者を乗せてすぐさま離陸した。
約8分後、無事、臨時へリポートに着陸して救急車に引き継いだ。
当日はその後も当庁ヘリコプター6機のピストン輸送により、東山小学校から、孤立住民168名の空輸にあたった。
▲グラウンドに着陸したヘリコプター |