海上保安レポート 2004

●はじめに


■TOPICS 海上保安の1年


■特集1 海洋権益の保全とテロ対策

■特集2 海保の救難

1 自然災害への対応

2 海保の救助要員


■本編

治安の確保

生命を救う

青い海を護る

災害に備える

海を識る

航海を支える

海をつなぐ連携


海上保安庁の業務・体制


海を仕事に選ぶ


海保の新戦力


その他


資料編


 
特集2 > 海保の救難 > 1 自然災害への対応 > 3 新潟県中越地震
新潟県中越地震
新潟県中越地震の概要
 10月23日午後5時56分頃、新潟県中越地方を震源とする地震(マグニチュード6.8(暫定値))があり、同県川口町にて震度7、小千谷市、山古志村等で震度6強を観測しました。その後も余震が断続的に発生し、死亡者は46名、負傷者は4,700名以上にのぼり、15,500棟以上の家屋が全壊もしくは半壊しました。
新潟県中越地震への対処
 海上保安庁では、地震発生直後に本庁と第九管区海上保安本部に対策本部を設置して、巡視船艇及び航空機に
道路に着陸しての住民の救出
▲道路に着陸しての住民の救出
より周辺の主要港湾及び日本海沿岸部の被害調査を行うとともに、新潟県との連絡調整等を強化するため、新潟県庁に設置された災害対策本部へ第九管区本部職員を派遣しました。また、隣接管区から巡視船、航空機、特殊救難隊、機動救難士を派遣し、新潟県の要請に基づいて孤立した住民の救出などの災害応急活動を巡視船艇のべ363隻、航空機のべ206機により実施しました。
 また、地震直後に招集された政府の緊急参集チーム協議及び内閣の関係省庁連絡会議並びに災害対策基本法に基づき設置された非常災害対策本部会議に参加し、関係省庁との連携、連絡調整等を図りました。

孤立者の救助
道路に着陸しての住民の救出
▲道路に着陸しての住民の救出
航空機乗員による住民の誘導
▲航空機乗員による住民の誘導
 今回の地震では、震源地周辺で土砂崩れにより道路が損壊するなどして住民が孤立したことから、新潟県では災害対策基本法に基づき、海上保安庁や自衛隊などへ孤立した住民の救出を要請しました。海上保安庁では24日から26日までの間、ヘリコプターを投入して、小千谷市と山古志村の孤立した住民計312名を救出しました。救出活動においては、被災地の校庭や道路などに着陸し、同乗した特殊救難隊員や機動救難士などが住民を誘導してヘリコプターに乗せ、安全な地区まで搬送しました。その他にも急患搬送、被災地へ医師、看護士、緊急消防援助隊、県職員、救援物資などを搬送し、孤立した住民の救出を含め、合計466名をヘリコプターで搬送しました。また、現場が山間部のため低空では航空基地との無線通信に支障が生じたため、上空に航空機を飛行させヘリコプターと航空基地との通信を中継するなど立体的、機動的に活動を実施しました。
 このように、新潟県中越地震では当庁の航空勢力が大活躍し、災害応急活動にはヘリコプターの活用が極めて有効であることがあらためて認識されました。
新潟航空基地に集結したヘリコプター
▲新潟航空基地に集結したヘリコプター