ミニボートの耐波性に関する実証試験
福岡海上保安部
平成29年8月8日、福岡海上保安部(福岡県)では、マリンレジャー本番のシーズンを迎え、「ミニボートの耐波性」について実証実験を行いました。
ミニボートとは、船舶検査や船舶免許が不要な超小型のモーターボートで、釣具店やインターネットで手頃な金額で気軽に購入でき、また、小型で軽量なので、自家用車でも簡単に運搬できることなどから人気が高まり、都市部の釣り人などを中心に、最近、急速に普及が進んでいます。
一方、事故も増加しています。そもそも、ミニボートは、河川や湖沼のほか、波の穏やかな入江や防波堤などに囲まれた安全な水域で使用することを想定しているものであり、波の高い水域を走ったり、複数人で乗船したりすることは危険です。
現状を把握するため、利用者などからの聞き取りを行ったところ、ほとんどのユーザーが、使用上の危険性などについて理解していないことが判明しました。インターネットで購入したユーザーの中には、なんの説明も受けていないといったケースもありました。
そこで、福岡海上保安部では、ミニボートの危険性を多くの方々に知ってもらうためには、多くの報道機関に取り上げてもらえるような企画を実行することが効果的だと考え、実際にミニボートの転覆を再現した「実証実験」を実施することとしました。
実証実験では、ミニボートの近くを通常のモーターボートが通過した場合、船体にどのような影響があるかといったことを検証しました。その結果、モーターボートの航走波を受けた船体は激しく動揺し、十分な安定性が保たれていないことが確認されました。テレビ局の報道担当記者の1人は自らミニボートに乗船し、波を受けて転覆する瞬間など、臨場感に溢れた映像の撮影に成功し、この様子は、ニュース番組の特集として、広く九州一円に放送され、ミニボートのユーザーだけでなく、その家族や多くの海事関係者にも、ミニボートの危険性を広く周知することができました。