海上保安レポート 2015

はじめに


TOPICS 海上保安の一年


特集 離島周辺や遠方海域における海上保安庁の活躍


海上保安庁の任務・体制


■本編

1 治安の確保

2 生命を救う

3 青い海を守る

4 災害に備える

5 海を知る

6 交通の安全を守る

7 海をつなぐ


目指せ! 海上保安官


語句説明・索引


図表索引


資料編

7 海をつなぐ > CHAPTER III 国際機関との協調
7 海をつなぐ
CHAPTER III 国際機関との協調

海に関して、関係各国が連携・協調しつつ、各国が有する知識・技能を世界共通のものとしていくため、様々な分野の国際機関が存在します。海上保安庁では、様々な業務を通じて得られた知識・技能を活かし、国際社会に貢献するため、これらの国際機関の取組みに積極的に参画しています。

平成26年の現状
1 国際海事機関(IMO)での取組み
AIS画面の表示例
AIS画面の表示例
 
AIS信号所のシンボル例
AIS信号所のシンボル例

IMOは、船舶の安全や船舶からの海洋汚染の防止等の海事問題に関する国際協力を促進するために設立された国連の専門機関で、現在170の国・地域が正式加盟国、3地域が準加盟国となっています。平成26年には、IMOの委員会である海上安全委員会(MSC)やMSCの下部組織である航行安全・無線通信・捜索救助小委員会(NCSR)に出席し、航行の安全等に関する議論に参加しました。本委員会中で、海上保安庁が提案した、視界不良時にも航路標識の位置等を容易に把握できるようにするためのAIS信号所の基本方針や、船舶のレーダーや電子海図の画面に表示されるAISの新しい表示方法(シンボル)が承認されました。


2 国際水路機関(IHO)での取組み

IHOは、海図等の水路図誌の最大限の統一、水路測量の手法や水路業務の技術開発等を促進するために設立された政府間の機関で、現在85か国が加盟しています。平成26年10月にモナコ公国にて、第5回臨時国際水路会議が開催され、最新の水路技術である人工衛星を利用した水深測定技術や商船等の一般船舶が取得した水深データの活用による、全世界の水深情報の充実等について議論を行いました。

平成26年6月には、海底地形への命名に関する委員会である海底地形名小委員会がモナコ公国で開催され、我が国が提案した小説家の川端康成や歌人の石川啄木等にちなんだ「康成海山」、「啄木海山」等の海底地形名23件が承認されました。


3 国際航路標識協会(IALA)での取組み

IALAは、航路標識の改善、船舶交通の安全等を図ることを目的とした国際的な組織で、現在75の国が加盟しています。平成26年5月にスペインで、IALA総会が開催され、海上保安庁交通部長が昭和50年から10期連続で理事に選任されました。今後も、海上保安庁は、IALA国家会員である各国航路標識当局と協調して、その組織運営や活動に貢献していきます。


4 コスパス・サーサットでの取組み

コスパス・サーサットシステムとは、人工衛星により中継された遭難信号から遭難船舶等の位置を迅速に検出するシステムです。このシステムは、コスパス・サーサットの国際協定を締結した日本を含む42の国・地域によって運営されています。このシステムの運営方針等を決定するために、理事会が毎年開催されており、平成26年10月にカナダで開催された第53回理事会では、今後導入が予定されている中軌道衛星を使用したシステムや次世代ビーコン等の将来展望について意見交換を行いました。


5 アジア海賊対策地域協力協定・情報共有センター(ReCAAP-ISC)での取組み

アジア海賊対策地域協力協定(ReCAAP)とは、我が国の主導で締結されたアジアの海賊・海上武装強盗問題に有効に対処するための地域協力を促進するための協定です。この協定に基づき、情報共有、協力体制構築のため、平成18年にシンガポールに情報共有センター(ISC)が設立されました。海上保安庁は、このISCへ職員1名を派遣し、海賊情報の収集・分析を積極的に推進し、ReCAAPによる海賊対策の取組みに貢献しています。