Column Vol.12
渦潮から船を守る! ―鳴門海峡におけるAISを活用した安全対策―
第五管区海上保安本部
渦潮から船を守る! ―鳴門海峡におけるAISを活用した安全対策―
第五管区海上保安本部
「渦潮」で知られる鳴門海峡は、瀬戸内海と太平洋を結ぶ船舶の通航ルートの一つですが、航行できる幅は約400mと狭く、また、潮流は流れの向きが複雑で最大11ノット(時速約20km)の速度に達するなど、船舶事故発生の蓋然性が極めて高い海域(いわゆる「船舶交通の難所」)です。
この海域を航行しようとする船舶は、事前に天気予報や潮汐表(干満時刻・潮位や潮流の向き・速度などを収録した航海誌)に基づき綿密な航海計画を作成するなど、航行にあたっては細心の注意を払う必要がありますが、年間10隻程度の乗揚や衝突などの海難が発生し、そのうち約3割が潮流の影響によるものでした。
「渦潮から船を守る」べく、大阪湾海上交通センターでは、平成24年9月11日から、AISを活用して、この海域を通航するAIS搭載船舶を対象に、AISメッセージによる潮流情報の自動配信を開始しました。また、メッセージを配信した船舶のうち、潮流の速度に対して一定の速度を保つことができずに航行するおそれがある船舶を同センターの運用管制官が監視し、VHF無線電話や船舶電話により情報提供を行う体制を構築しました。
この取組みを開始してから平成25年末まで、潮流の影響を受けて事故をおこしたAIS搭載船舶は無く、時間調整や安全な通航ルートへの変更を行うなど「渦潮から船を守る」安全対策が効果をあげています。
◆AISの活用 〜鳴門海峡における安全対策〜 |