わが国周辺海域は、世界的にも有数な水産資源の豊かな海域ですが、それら資源を持続的に利用するためには、漁獲量の制限や操業区域・期間を法令で定めるなどにより、適切な資源管理を行うことが極めて重要です。
しかしながら、組織的で大掛かりな密漁グループや、資金確保を目論む暴力団等による水産資源の乱獲が後を絶ちません。
海上保安庁では、関係機関とも連携・協力しつつ、悪質な密漁事犯の厳格な取締りに努め、漁業秩序の維持を図っています。
平成24年の密漁事犯の送致件数は2,591件で、前年に比べ379件増加しており、また、4年連続で2,000件を超え、依然として高い水準で推移しています。
平成24年の特徴として、漁業者以外による魚貝類の採捕(漁業権の侵害)等が多く見受けられ、また、地元漁業者が保護・育成してきた「あわび」、「さざえ」、「なまこ」などを、組織的な密漁グループや暴力団関係者が潜水器を用いて根こそぎ捕獲するなどの悪質な事例が依然として見られます。
平成24年には、宮城県において、東日本大震災により漁業施設及び漁船など多くを失うという大打撃を受けた地元漁業者が、日常の漁業活動も覚束ない窮状にある中で懸命な復興作業に取り組んでいるのを横目に、密漁により多額の金銭を得ようとする暴力団関係者が、大掛かりで巧妙な手口で行った「あわび」の密漁事犯などの事例がありました。
海上保安庁では、捜査能力のさらなる向上や採証資機材等の充実を図り、悪質な密漁事犯の厳格な監視取締りに努めます。また、引き続き、関係機関や漁業関係団体等との緊密な連携を図ることで、地域の特性に応じた未然防止対策などの総合的な密漁対策を推進していきます。
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