海上保安レポート 2013

はじめに


TOPICS 海上保安の一年


特集 領海・EEZを守る海上保安庁


海上保安庁の任務・体制


■本編

1 治安の確保

2 生命を救う

3 青い海を守る

4 災害に備える

5 海を知る

6 交通の安全を守る

7 海をつなぐ


目指せ! 海上保安官


語句説明・索引


図表索引


資料編

1 治安の確保 > COLUMN Vol.01 電子情報機器はおまかせ!犯罪情報技術解析官
1 治安の確保
COLUMN Vol.01
電子情報機器はおまかせ!犯罪情報技術解析官 第三管区海上保安本部
VDR(航海情報記録装置)
▲VDR(航海情報記録装置)
データの抽出・解析を行う飯野犯罪情報技術解析官
▲データの抽出・解析を行う飯野犯罪情報技術解析官

海上保安庁では、事件の全容解明や犯罪の立証、衝突事故の原因究明等のため、船舶に搭載された航海計器やパソコン等に保存された電磁的記録を解析する犯罪情報技術解析官が配置されています。

第三管区海上保安本部の飯野哲也さんは、今まで培った電子機器に関する豊富な知識を活かし、犯罪情報技術解析官として活躍しています。飯野さんが取り扱う機器は、VDR(航海情報記録装置)、GPSプロッター等の航海計器を始め、パソコン、携帯電話、その他現場からの依頼に応じてデジカメや監視カメラまで多岐にわたります。中でも、VDRを扱う機会が多く、自船や周囲の船舶の航跡や速力等のデータが記録されたVDRを解析することによって、その船舶がどのような操船を行っていたかを明らかにすることができます。しかし、VDRには多くの機種があり、また、取扱いも一様ではないことから、解析には困難を極めますが、飯野さんの豊富な知識・技能をもとに、的確にデータを抽出・解析し、船舶衝突事件、油等の違法排出事件、密輸事件等の解明に大きく貢献しています。

平成22年10月の飯野さんの着任後半年間の取扱件数は4件でしたが、平成24年における年間の取扱件数は18件、現場への出動件数は10件で、飯野さんの活躍の場は増える一方です。中には、一晩で3件の衝突事故に対応することもありました。その日、飯野さんが1件目の事故への対応中、後を追うように続けて2件目の事故のVDRデータ抽出・解析依頼が入り、さらに、3件目の現場では、データの解析作業をしながら別の現場の捜査員に電話で指示をしてデータの抽出をし、後に解析を行うなどして、ほぼ同時進行で3件の事案に対応しました。