海上保安レポート 2013

はじめに


TOPICS 海上保安の一年


特集 領海・EEZを守る海上保安庁


海上保安庁の任務・体制


■本編

1 治安の確保

2 生命を救う

3 青い海を守る

4 災害に備える

5 海を知る

6 交通の安全を守る

7 海をつなぐ


目指せ! 海上保安官


語句説明・索引


図表索引


資料編

1 治安の確保 > CHAPTER1 海上犯罪の現況
1 治安の確保
CHAPTER1 海上犯罪の現況
平成24年の現況

平成24年の海上犯罪の送致件数は、7,448件であり、前年より92件増加しました。

法令別に見ると、海事関係法令違反が3,152件と最も多く、次いで漁業関係法令違反が2,657件、刑法犯が821件、海上環境関係法令違反が562件となっています。

また、犯罪種別では、海事関係法令では、検査を受けていない船舶を航行させる無検査航行や定員超過等の船舶安全法関係法令違反が1,497件と最も多く、漁業関係法令では、漁業権の侵害や禁止漁具の使用が、刑法犯では、船舶の衝突や乗揚げといった業務上過失往来危険や過失傷害が、海上環境関係法令では、廃棄物の不法投棄や船舶からの油等の不法排出が多く発生しています。

このほか、薬物や銃器等の密輸事犯といった薬物・銃器関係法令違反を10件、不法出入国(いわゆる密航)事犯や不法残留事犯等の出入国関係法令違反を10件検挙しました。


乗揚げにより浸水した小型船舶 浅瀬に乗揚げた船舶
▲乗揚げにより浸水した小型船舶 ▲浅瀬に乗揚げた船舶
密漁の容疑のある漁船に近づく搭載艇(右) 密漁された「なまこ」
▲密漁の容疑のある漁船に近づく搭載艇(右) ▲密漁された「なまこ」
複数部署の連携により衝突逃走死亡事件を解決
転覆漁船を調査している様子
▲転覆漁船を調査している様子

平成24年4月16日、石川県沖において、新潟航空基地所属の航空機及び巡視艇「おきかぜ」が転覆漂流中の漁船を発見しました。能登海上保安署は、現場の状況から衝突逃走事件を念頭に初動捜査を実施し、船舶の手配を行ったところ、巡視船「だいせん」が島根県沖にて手配対象のコンテナ船を発見しました。「だいせん」は衝突の事実を否定するコンテナ船乗組員を鋭意説得して境港に回航させ、境海上保安部とともに捜査にあたりました。さらに、七尾海上保安部は、能登海上保安署と協力し、コンテナ船の衝突痕からペイントを採取・鑑定し、加害船であることを断定しました。これら複数の部署が、それぞれに的確な捜査を実施しつつ、緊密に連携することにより、事件の全容を解明しました。