我が国周辺海域の豊かな水産資源を狙い、違法操業を行う外国漁船は後を絶ちません。これらの外国漁船は、EEZ（排他的経済水域）の境界付近などの遠方海域や夜間に違法操業を行い、巡視船艇・航空機の接近を察知すると、摘発を逃れるために逃走し、さらには、海上保安官の移乗を妨げるためにジグザグに航走しながら抵抗するなど、その態様は広域化、悪質化しています。

■外国漁船への適用法律

日中、日韓の両国間のEEZでは、EEZ漁業法適用特例対象海域を除き、沿岸国が相手国の漁船に対して許可を行い、許可を受けた漁船は沿岸国が決定した操業条件に従った操業を行うこととされており、我が国はこの条件に従わない漁船の取締りを行っています。一方、EEZ漁業法適用特例対象海域では、相手国の漁船に対して自国の漁業関係法令は適用せず、両国間において共同で資源管理等を行うこととされています。

■EEZ漁業法適用特例対象海域図

平成23年の外国漁船の検挙隻数は11隻で、前年の3隻に比べ大幅に増加しました。違反の内容別に見ると、「EEZ漁業法」違反が7隻（無許可操業6隻、禁止海域内操業1隻）、「外国人漁業の規制に関する法律」違反（領海内違法操業）が1隻、「漁業法」違反（立入検査忌避）が3隻となっています。

また、海域別に見ると、オホーツク海、日本海、小笠原諸島周辺海域、九州西方沖に多く外国漁船の違法操業が確認されており、外国漁船船長を逮捕するなど厳正かつ的確に対処しています。

■平成23年の外国漁船による漁業関係法令違反位置

能登半島沖の我が国のEEZ内で違法操業した中国漁船2隻を検挙

平成23年8月5日、水産庁新潟漁業調整事務所からの通報を受け、第九管区海上保安本部では、直ちに巡視船及び航空機を現場に急行させ、水産庁漁業取締船と共同で確認にあたったところ、翌早朝、我が国EEZにおいて違法操業中の中国漁船の2隻を確認しました。その後、これら2隻が停船命令に従わずジグザグ航行するなど逃走を続けるとともに、巡視船と逃走する漁船との間を周囲の中国漁船が横切る行為を繰り返す中、「魯栄漁1736」と「魯栄漁1735」に対してそれぞれ巡視船が強行接舷を実施し、海上保安官が移乗し停船させ、これら2隻の船長を「EEZ漁業法」違反（無許可操業）により現行犯逮捕しました。翌日、代理人から担保金制度に基づく担保金の提供を保証する書面が提供されたため、逮捕した2名を釈放しました。

▲中国漁船を追跡する巡視船（右）

■外国漁船の国籍別検挙隻数の推移

平成23年の外国漁船の検挙隻数が、昨年と比較して大幅に増加したのは、関係機関等との連携・協力の下、巡視船艇・航空機を効率的かつ効果的に運用して取締りを実施した結果であり、今後とも関係機関等との連携・協力を図り、情報収集・分析活動により外国漁船の操業実態の把握に努めるとともに、厳正かつ的確な監視取締りを実施していきます。

▲韓国漁船を捕捉する巡視艇（右）