海上保安レポート 2010

はじめに


TOPICS 海上保安の一年

特集


海上保安庁の任務・体制


治安の確保

領海等を守る

生命を救う

青い海を護る

災害に備える

海を識る

交通の安全を守る

海を繋ぐ


目指せ!海上保安官


語句説明・索引


図表索引


資料編


07 交通の安全を守る > CHAPTER4 航行の安全のための情報提供
07 交通の安全を守る
CHAPTER4 航行の安全のための情報提供

海上保安庁では、航海の安全に必要な情報の迅速かつ確実な提供を行い、海難の未然防止に努めています。

平成21年の現況

海上保安庁では、船舶が安全に航行できるよう必要な情報を様々な方法により提供しています。


1 MICS(沿岸域情報提供システム)

プレジャーボート、漁船等の船舶運航者やマリンレジャー愛好者の方々等に対して、全国の海上保安部から地域に密着した以下の情報をインターネット、携帯電話、テレホンサービス、無線電話により「誰もが簡単に」「必要な情報を必要なときに」「誰でも分かりやすく」を目指し、リアルタイムに提供しています。

MICSの情報は、船舶運航者の約4割の方に利用されている一方、MICSの存在自体を知らない方も同様に約4割います。また、海水浴客や釣りといったマリンレジャー愛好者の約7割の方はMICSの存在自体を知らないこと、利用されている情報のうち、約9割弱が気象・海象情報であることが調査の結果分かりました。

この調査結果を踏まえ、MICSについての周知活動を進めているほか、ニーズを踏まえた情報の充実等を行い、利用の促進を図っています。


2 AISを活用した航行支援システムの全国展開完了

海上保安庁では、平成16年7月の東京湾を皮切りにAISを活用した航行支援システムの運用を順次開始し、平成21年7月の南九州及び南西諸島沿岸海域での運用の開始により全国展開が完了しました。

このAISを活用した航行支援システムによりAIS搭載船舶の動静をリアルタイムに把握し、乗揚げや走錨のおそれのある船舶に対する注意喚起や各種航行安全情報を提供することにより、海難の未然防止に努めています。

3 水路図誌・水路通報・航行警報
〈水路図誌〉

水深や航路の状況といった航海の安全に不可欠な情報を、海図等の水路図誌として提供しています。

〈水路通報〉

水路図誌を最新のものに維持するための情報並びに船舶交通の安全に必要な航路標識の変更、海上における工事・作業、自衛隊や米軍等が実施する射爆撃訓練等の情報を印刷物やインターネットにより発行しています。

〈航行警報〉

船舶が海上を安全に航行するために必要な情報等を衛星通信、インターネット等によりNAVAREA航行警報NAVTEX航行警報、日本航行警報、地域航行警報として航行船舶に対して提供しています。

今後の取組み
■ 次世代航行支援システムの構築

海上保安庁では、AISによる船舶動静情報や仮想航路標識情報のほか、気象・海象、推薦航路、航行制限水域、管制状況といった様々な安全情報を、分かりやすくビジュアルにリアルタイムで船舶内の画面上に表示し、操船者がより安全に操船できるよう支援する新たなシステム(ENSS:Electronic Navigation Support System)の整備、国土交通省が開発を進めているe-Navigationとの連携により、「次世代航行支援システム」の構築を目指しています。

霧信号所の廃止

霧信号所は、電波航海計器が十分に発達、普及していなかった時代に、音波標識として霧や吹雪等による視界不良時に付近航行船舶に対して、信号所の位置を音で知らせることにより操船を援助するために設置されました。昭和43年度には全国で53基とピークを迎えましたが、近年は、船舶用レーダーやGPSの普及により、視界不良時にも容易に船舶の位置を確認できるようになったことから、その数を徐々に減らし、平成22年3月、全ての霧信号所を廃止しました。

旧犬吠埼霧信号所の霧笛舎とラッパ
旧犬吠埼霧信号所の霧笛舎とラッパ