海上交通を支える技術の進展に呼応し、海上交通を取り巻く環境は近年急速に変化してきました。ここでは、昨今の海上交通環境の変化に呼応した、海上交通の安全確保に寄与する主な取り組みをご紹介します。
AISは、船舶の名称、針路、速力等の船舶の動静情報をリアルタイムで知らせるシステムで、「1974年の海上における人命の安全のための国際条約(SOLAS条約)」に基づき、平成20年7月までに一定の船舶に対して搭載することが義務付けられました。このAISの登場により、船舶相互間における操船意思の確認等において、これまでとは比較にならないほど利便性が向上したといえます。また、AISはレーダーと比較して受信範囲が広いため、陸上側の航行支援ツールとしても乗揚げ・走錨の予防、危険物積載船等の動静監視、海難の早期発見等を広い海域で可能とするとともに、船舶交通流を容易に把握できることから、これを活用し、海上交通の安全確保や船舶運航の効率化の更なる向上を図ることができます。
海上保安庁では、一部離島を除く日本沿岸全域でAIS情報の送受信が可能となる陸上施設の整備を進めており、ふくそう海域をはじめ、北海道、東北、北陸及び山陰沿岸においては、AISを活用した航行支援システムの運用を開始しています。同システムの導入により、日本沿岸の広大な海域において、AIS搭載船舶の動静を把握することができ、航行実態に即したより効果的な航行安全指導や乗揚げ防止などの情報提供が行えるようになります。