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目指せ!海上保安官
Column 12 海上保安官の活躍するステージは海ばかりとはかぎりません
第八管区情報通信管理センター
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▲現場に向かう職員 |
平成20年1月23日未明、兵庫県北部にある標高約900メートルの山岳部に設けられた通信施設に重大な通信障害が発生しました。この通信施設の復旧作業には、通常、四輪駆動の車で登山路入口から約7キロメートルの道程を1時間程度で登坂します。しかし、冬季ともなると登山路は2メートルを超える豪雪に埋もれ、車両での登坂が困難となります。代替措置により当面の情報通信に支障は生じないとはいえ、この通信施設は海上保安庁の情報通信網を構成しているうえ、日本海西部を航行する一般船舶との通信や遭難時の通信を取り扱う国際VHF無線電話海岸局が設置されている重要な通信施設であり、一刻も早い復旧が必要となります。
そこで情報通信施設の整備や管理を担当する第八管区情報通信管理センターでは、未だかつて経験したことのない冬山アタックを計画。直ちに現地の気象情報を収集し、冬山防寒装備を用意するなどして万全な態勢で復旧作業に臨むこととしました。
1月27日、悪天候の間隙を縫って登頂を決行。まずは中腹にベースキャンプを設営し、翌28日午前6時、復旧作業にあたる職員4名が修理資器材を携行し重装備で登頂を開始しました。天候は曇り、気温は−2℃と大変厳しい天候の中、延々と続く雪山を先導役の2名が雪を掻き分け掻き分け、他の2名を先導するといったやり方を交互に繰り返しながら、約6時間かけてようやく障害の発生した通信施設に到着、冬山の天候はいつ急変するかも知れないため、疲労困憊した身体を休めることなく、直ちに復旧作業に取りかかりました。幸い障害は4名のチームワークも宜しく、速やかに復旧させることができましたが、復旧完了の達成感に浸る余裕もありません。直ちに下山を開始、暗闇迫る午後5時ベースキャンプに到着し、一連の作業を無事完遂することができました。
今回の作業は情報通信に関する技術に加え、責任感に基づく旺盛な気力と強靭な体力が業務遂行には不可欠であることを強く認識させられるものでありました。
海上保安官が活躍するステージは海ばかりではなく、今回のように冬の山々にもあるのです。
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▲通信施設到着を目前にした職員 |
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