海上保安レポート 2004

●はじめに


■TOPICS 海上保安の1年


■特集1 海洋権益の保全とテロ対策

■特集2 海保の救難


■本編

治安の確保

生命を救う

青い海を護る

災害に備える

海を識る

航海を支える

海をつなぐ連携


海上保安庁の業務・体制


海を仕事に選ぶ


海保の新戦力


その他


資料編


 
本編 > 生命を救う > コラム 海開きで海上保安官が溺者救助!
海開きで海上保安官が溺者救助!
 平成16年7月8日、午前10時30分頃、因幡の白兎伝説で有名な白兎海岸の「白兎海水浴場」海開きの神事の最中に事故は起こった。
 海浜事故防止と救助体制確保祈願のため神事に参加していた鳥取海上保安署の吉田海上保安官は、150m程沖合いで遊泳中の男性の異変に気付いた。この大学生は、折からの離岸流に流され、持病の過換気症候群を発症して身体の自由が効かなくなって溺れていたのだ。
 吉田保安官は砂浜を疾走しながら制服の上衣を脱ぎ、2mはある磯波が立つ海へと救助に向かう。大学生はパニック状態に陥り、既に危機的な状況にあった。パニックに陥った溺者は触れる物にすがりつき、時には救助者までも巻き込まれる。吉田保安官は溺者救助の基本どおり背後から襟首を掴み、大学生を確保するが大学生はパニック状態で救助も危ぶまれる。
 「彼女はいるか?! 彼女のためにも頑張れ!!」
 冷静沈着な判断で大学生を落ち着かせるための言葉を掛け、励ます。磯波の波間で大学生を確保し続け、落ち着きを取り戻しつつあることを確認した吉田保安官は砂浜に向け泳ぎだした。
 そして、駆けつけた地元住民とともに救急車に引き継ぎ、午前10時50分、無事救助は完了した。
 この果敢な救助活動は、海開きに参加していた地元小学生や報道関係者が注視する中で行われ大きく報道された。子どもたちにも人命救助活動の尊さをつぶさに認識させる一幕となった。  

救助する海上保安官
▲救助する海上保安官