近年の密輸・密航事犯については、洋上瀬取り(洋上における積荷の受け渡し)、コンテナ貨物を利用した密輸、クルーズ船の外国人乗客による密輸が発生しているほか、密航斡旋ブローカーの関与がうかがわれる数人規模の密航、退去強制歴を有する船員の不法上陸が発生しており、中には事犯の背後に国際犯罪組織が関与するものも発生しています。
海上保安庁では、我が国の治安及び法秩序を乱すこうした密輸・密航事犯を厳格に取締り、薬物や銃器の密輸、密航者の水際阻止を図っています。
|
1 治安の確保 > CHAPTER IV 密輸・密航対策
1 治安の確保
CHAPTER IV 密輸・密航対策
近年の密輸・密航事犯については、洋上瀬取り(洋上における積荷の受け渡し)、コンテナ貨物を利用した密輸、クルーズ船の外国人乗客による密輸が発生しているほか、密航斡旋ブローカーの関与がうかがわれる数人規模の密航、退去強制歴を有する船員の不法上陸が発生しており、中には事犯の背後に国際犯罪組織が関与するものも発生しています。 海上保安庁では、我が国の治安及び法秩序を乱すこうした密輸・密航事犯を厳格に取締り、薬物や銃器の密輸、密航者の水際阻止を図っています。 密輸事犯について
平成28年の薬物事犯の摘発件数は、12件でした。このうち覚醒剤の押収量は約1,314kgとなり、平成11年に記録した押収量約785kgを大幅に上回り、過去最大となりました。また、平成28年5月、マレーシア籍ヨット船長ら(台湾人)による大量覚醒剤密輸入事件で覚醒剤約597kgを押収し、1件当たりの覚醒剤押収量も過去最大となりました。(これまで最大押収量は、平成11年10月に鹿児島県南さつま市(旧笠沙町)の黒瀬海岸で押収した約564kg)。海上からの薬物の密輸事犯については、小型船舶を利用した洋上瀬取りや海上コンテナ貨物への隠匿といった手法により、一度に大量の薬物を密輸する事犯を相次いで摘発したほか、訪日クルーズ船の外国人乗客による薬物等の国内持込み事犯も摘発しています。傾向として、密輸手口の大口・巧妙化及び密輸ルートの多様化が見受けられ、国際犯罪組織が関与するものも発生しています。また、薬物や銃器以外では、訪日クルーズ船の外国人乗客による金地金の密輸事犯も摘発しています。
訪日クルーズ船外国人乗客による金地金密輸入事件(沖縄県石垣市)〜金地金約15kgを押収〜
密航事犯について
平成28年における密航事犯の摘発件数は1件であり、昨年と比較し1件減少しました。摘発者数については、不法入国者3名、不法入国手引者4名、不法出国手引者1名でした。 船舶による不法出入国事犯については、近年、密航斡旋ブローカーの関与がうかがわれる数人規模の密航事犯及び退去強制歴を有する船員が不法上陸した事犯を摘発しており、小口・巧妙化の傾向が続いています。密航事犯の背後には、国内外に密航を斡旋する手引者が存在することが多いことから、海上保安庁では、密航者を検挙した後も関係機関と連携して捜査を継続し、事件の全容解明に努めています。
中国人乗組員不法上陸事件(新潟県新潟市)
平成28年3月、新潟港に着岸中のコンテナ船から、中国人乗組員1名が許可を受けずに不法上陸する事案が発生しました。新潟海上保安部が、本邦上陸後の足取りを捜査したところ、同月、茨城県小美玉市において同乗組員の潜伏先を特定するに至り、出入国管理及び難民認定法違反(不法上陸)の容疑で逮捕しました。
韓国人広域窃盗団による集団密入国事件(佐賀県唐津市)
海上保安庁では、引き続き、国際組織犯罪対策基地を中心に国内外の関係機関との協力を強化しつつ、海事・漁業関係者や地元住民からの情報収集を行うとともに、その分析活動に努め、密輸・密航が行われる可能性が高い海域において、巡視船艇・航空機による重点的な監視・警戒を実施し、密輸・密航の蓋然性が高い地域から来航する船舶に対しても、重点的な監視や立入検査を実施することで、密輸・密航事犯の水際阻止に努めていきます。 |