海上保安庁では、従前から、全国の海上における不審事象、不法行為等に隙のない対応を行うため、尖閣諸島周辺海域における領海警備体制の強化をはじめ、戦略的海上保安体制の構築を進めてきました。
一方で、「I. 我が国周辺海域を取り巻く情勢」でも取り上げたとおり、我が国周辺海域をめぐる状況はいっそう厳しさを増しており、こうした状況に対し、海上保安庁の「海上法執行能力」、「海洋監視能力」及び「海洋調査能力」の3点の強化を図る必要のあったことから、平成28年12月21日、「海上保安体制強化に関する関係閣僚会議」が開催され、「海上保安体制強化に関する方針」が決定されました。
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海上保安体制強化に関する方針は、国家安全保障戦略(平成25年12月17日国家安全保障会議決定・閣議決定)において、法執行機関の能力強化や海洋監視能力の強化といった大きな方向性が示されていること等を受け、尖閣諸島周辺海域における緊迫した情勢をはじめとする我が国周辺海域における重大な事案への対応の具体的な方向性が定められたものです。
具体的には、下記の5つの柱による海上保安体制の強化を進めていくこととされました。
- 尖閣領海警備体制の強化と大規模事案の同時発生に対応できる体制の整備
- 広大な我が国周辺海域を監視できる海洋監視体制の強化
- テロ対処や離島・遠方海域における領海警備等の重要事案への対応体制の強化
- 我が国の海洋権益を堅守するための海洋調査体制の強化
- 以上の体制を支える人材育成など基盤整備
本方針の決定に際し、安倍内閣総理大臣は、「海上保安官の仕事は厳しく、命がけの仕事である」「海上保安庁は、海の警察、消防であり、我が国の平和で豊かな海と国民の生命と財産を護り、安全・安心を確保するために、その体制に、一寸の隙も許されない」「今後、本方針に従って、継続的に海上保安体制の強化を図り、我が国の平和で豊かな海をしっかりと守っていく」と述べました。