平成26年6月、海上保安庁の測量船「拓洋」(2,400トン)搭載の自律型潜水調査機器(AUV:Autonomous Underwater Vehicle)「ごんどう」による調査を実施した結果、沖縄県久米島沖の水深約1,400mの海底において尖塔状の地形を多数発見し、最も高いものは周囲の海底から20m以上もありました。
測量船とAUVによる海洋調査の比較 |
AUVにより得られたデータからは、尖塔状地形の先端から湧出物を示す記録が得られ、急激な水温の上昇も観測されたことから、この尖塔状の地形は熱水を噴出しているチムニー*であることが分かりました。
このチムニー群は、およそ1,500m×300mの広大な範囲(面積約0.45km2:東京ドーム約10個分)に分布しており、これまでに日本周辺の海底で発見されているものの中では最も規模が大きいものです。チムニーの周囲には、高さ10m程度の高まりも多数認められ、これらも熱水活動により形成された熱水マウンド*であると推定されました。
*チムニーとマウンド
熱水に溶けている銅・鉛・鉄等の金属が低温の海水と反応して沈殿することにより形成されたもので、煙突状に突き出た高まりを「チムニー」、円錐状の高まりを「マウンド」といいます。
発見したチムニー群の範囲 | チムニーとマウンド |
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「ごんどうサイト」で確認されたチムニー 【提供:独立行政法人石油天然ガス・金属鉱物資源機構】 |
「ごんどうサイト」でサンプリングされた鉱石 【提供:独立行政法人石油天然ガス・金属鉱物資源機構】 |
その後、独立行政法人石油天然ガス・金属鉱物資源機構(JOGMEC)が実施した調査により、本チムニー群は、銅や亜鉛等が含まれる有望な海底熱水鉱床であることが確認されました。この海底熱水鉱床は、海上保安庁のAUV「ごんどう」にちなみ、JOGMECによって「ごんどうサイト」と呼ばれています。
このように、海上保安庁の行う海洋調査は、将来の資源開発につながる可能性を秘めており、我が国の海洋権益を確保する上で重要な業務となっています。