排他的経済水域等の幅を測定するための基線は、通常は海岸の低潮線とされています。海洋国家である我が国が発展するためには、排他的経済水域等を確実に確保する必要があり、そのためには低潮線の保全が極めて重要となります。
こうした中、平成22年5月に「排他的経済水域及び大陸棚の保全及び利用の促進のための低潮線の保全及び拠点施設の整備等に関する法律」(低潮線保全法)が成立し、政府一体となって低潮線を保全していくこととなりました。
海上保安庁の対応
海上保安庁では、巡視船艇・航空機の機能を強化することなどにより、低潮線保全区域及びその周辺海域の監視・警戒体制の強化を図ります。
また、航空レーザー測量による調査等、低潮線の保全のために必要な調査を実施していきます。
低潮線データベースの構築
低潮線を適切に保全するためには、低潮線の位置、周辺の海底地形や写真等の情報を関係行政機関で共有することが重要です。
海上保安庁では、平成23年度中に関係行政機関の協力のもと、データベースを構築し、情報の集約・共有化を図ることとしています。
航空レーザー測量について
航空機に搭載した航空レーザー測深機からレーザーパルス波を照射し、その反射波の時間差から水深を測定する方法です。
測量船が近づけない海岸付近や、サンゴ礁付近等の水深が浅い海域においても、安全に効率良く測量することができます。海水の透明度にもよりますが、澄んだ海域では水深最大50メートルまで測量することができます。
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▲測量結果 |
沖ノ鳥島
沖ノ鳥島(東京都)は、東京から約1,700km離れた南の海に位置し、日本の最南端にあたります。
国連海洋法条約では、「島とは、自然に形成された陸地であって、水に囲まれ、高潮時においても水面上にあるものをいう。」と定義されており、このような「島」は領海、接続水域、排他的経済水域及び大陸棚を有することが定められています。
最近、中国は、沖ノ鳥島は「岩」にすぎず、排他的経済水域及び大陸棚を設定できる「島」にはあたらないと主張していますが、沖ノ鳥島は、まさに国連海洋法条約の定義に該当する「島」であり、中国の主張に根拠はなく、受け入れられるものではありません。
海上保安庁では、沖ノ鳥島周辺海域において巡視船及び航空機によるしょう戒を行うとともに、沖ノ鳥島灯台の保守管理を定期的に行うなど、海洋権益の保全に努めています。