海上保安レポート 2008

●はじめに


特集1 海上保安庁 激動の10年

特集2 海洋基本法を見据えた海上保安庁の取組み〜新たな海洋立国の実現に向けて〜

1.体制を充実させて

2.海洋調査により海を拓く

2.大規模海難ゼロに向けて

特集3 海上保安庁のあゆみ


海上保安庁の任務・体制


■本編

治安の確保

生命を救う

青い海を護る

災害に備える

海を識る

航海を支える

海を繋ぐ


目指すは海上保安官


語句説明・索引


図表索引


資料編


目指すは海上保安官 > 海上保安学校
目指すは海上保安官
海上保安学校 JCG School
 海上保安学校(京都府)では、海上保安庁の一般職員として必要な知識及び技能の修得と心身の錬成を行います。
 海上保安学校には、航空課程や海洋科学課程といった海上保安大学校にはない課程も設置されており、卒業後従事する業務等に合わせて、採用試験時に4課程のうちから1つを選択します。
 教育期間は1年(情報システム課程のみ2年)です。語学等の全学生を対象にした共通科目に加え、各課程・コース毎の専門科目等を学びます。
海上保安学校 海上保安学校 海上保安学校
授業内容
船舶運航システム課程
 巡視船艇に乗り組む海上保安官を育成する課程です。航海、機関、主計の3コースに分かれており、それぞれ航海科職員、機関科職員、主計科職員を養成するため、巡視船艇の運航に必要な知識・技能を修得します。体育・訓練科目や海上警察・救難防災等警備救難業務にかかる講義を多く受講します。
航空課程
 航空機の運航を担当する海上保安官(飛行科・航空科職員)を育成する課程で、航空機を運航するために必要な知識・技能を修得します。数学・物理・英語等の基礎教養科目と海上警察・救難防災など警備救難業務にかかる講義を多く受講します。海上航空業務など航空課程独自の講義もあります。
情報システム課程
 情報通信システムや航行援助施設の保守・運用を行う海上保安官を育成する課程(船舶では通信科もしくは測定科)で、各種通信機器の取扱いなどに必要な知識・技能を修得します。警備救難業務にかかる講義と海上交通業務にかかる講義をバランスよく受講します。
海洋科学課程
 航海の安全を確保するために必要な様々な海洋データに携わる海上保安官を育成する課程で、海洋の科学的資料の収集・解析に必要な知識・技能を修得します。数学・基礎科学等の基礎教養科目と測量や天文といった海洋情報業務にかかる科目を受講します。
授業例1.犯罪鑑識
 犯罪の捜査に際しては、十分な証拠を確保する必要があります。本講義では、指紋の採証方法、現場における写真の撮影方法や法医理化学の判断ポイント等の犯罪鑑識の知識を学び、実習を通じて鑑識資機材を使用することでその能力を身につけていきます。(海洋科学課程を除く。)
犯罪鑑識実習
▲犯罪鑑識実習
授業例2.水泳
遠泳訓練
▲遠泳訓練
 厳しい海上環境の中で海上保安業務を遂行するためには、強い精神力と強靭な体力及び臨機応変な行動能力が必要となるため、海上保安学校では体力練成を行っています。特に海上で業務を遂行するため、水泳は重要です。5月頃から泳力に応じて、プールや海面において水泳訓練を実施します。そのハイライトが夏に行われる遠泳訓練で、平泳ぎで3海里(約5.6km)行います。この時には、入学時には泳げなかった者もほとんどが完泳します。(全課程共通)
学生生活
 海上保安学校も全寮制です。起床時間や門限等も定められています。また、放課後には部活動を行っており、全ての学生が体育系の部に所属します。これら学生生活を通じて、海上保安官に必要な規律、責任感、協調性、積極性や気力・体力の練成が行われます。
1.学生寮の外観 2.寮生活(自習室) 3.寮生活(清掃活動)  4.海洋科学課程の授業の様子 5.航空課程の授業の様子 6.乗船実習
1.学生寮の外観 2.寮生活(自習室) 3.寮生活(清掃活動) 4.海洋科学課程の授業の様子 
5.航空課程の授業の様子 6.乗船実習
Report file 12 
海上保安学校門司分校
 既に巡視船艇や航空機を運航するための資格(海技士、無線通信士、事業用操縦士等)を保有している人を採用した上で、海上保安官として働くために必要な教育を行っています。従って授業内容は刑法、刑訴法等の法学や海上取締、海上交通等海上保安業務を遂行するために必要な教育を重点的に受けることになります。