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青い海を護る
1. 海洋環境保全対策
目標 Target
海上保安庁では海洋環境の保全のため、海洋汚染発生状況の把握、汚染源の特定等による新たな汚染の防止、指導・啓発活動による汚染の未然防止、海洋環境の保全に取り組んでいきます。
平成19年の現況
(1) 海洋汚染の状況
海上保安庁では、巡視船艇及び航空機による監視や 緊急通報用電話番号「118番」通報をもとに、船舶からの油や廃棄物等による海洋汚染について発生状況の把握に努めています。平成19年は、油、廃棄物、有害液体物質、 赤潮、 青潮等による海洋汚染の発生を477件確認し、平成18年より7件増加しています。種類別に見ると、油によるものが302件、廃棄物によるものが97件であり、依然として海洋汚染は後を絶ちません。
なお、これらのデータは「海洋汚染の現状」として毎年公表しており、海上保安庁のホームページで公開しています。
(2) 海洋環境保全活動
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▲子どもたちを対象とした海洋環境保全教室 |
海洋環境保全意識を高めるため、周年を通じ様々な指導・啓発活動を全国各地で実施しています。特に6月を「海洋環境保全推進月間」として、海事・漁業関係者を対象とした海洋環境保全講習会や船舶乗組員を対象とした訪船指導を通じて、油等の排出防止、ビルジ等の適正処理及び海洋汚染防止関係法令の遵守を促すための指導を精力的に実施しました。
また、 海洋環境保全推進員等の民間の方々とも協力して、子どもたちを含む一般市民を対象に「うみがめマリンの大冒険」などの環境紙芝居の上演や水質検査実験等による海洋環境保全教室の開催、街頭やイベント会場での啓発活動のほか、海岸漂着ごみ分類調査等を行い、海洋環境保全思想の普及に努めました。 さらに、(財)海上保安協会と協力して、全国の小中学生を対象とした「未来に残そう青い海・図画コンクール」を平成12年度から毎年実施し、第8回となる平成19年度は過去最多の45,321点の応募がありました。
(3) 新たな制度への対応
「ロンドン条約96年議定書」に対応した「 海洋汚染等及び海上災害の防止に関する法律の一部を改正する法律」等が平成19年4月1日から施行され、船舶及び海洋施設からの廃棄物の海洋投棄が原則全面禁止になるとともに、海洋投入処分可能な廃棄物についても「 海洋投入処分許可・確認制度」が設けられ、これらの制度の適正な運用を図ることにより不法投棄の未然防止に努めました。
(4) 海洋環境調査活動
東京湾などの内湾域から外洋域にかけて、海洋汚染調査を実施したほか、日本周辺海域や深海域において、放射能調査を実施しました。
今後の取組み
(1) 海洋環境保全のための指導・啓発活動の推進
海洋汚染の多くは人為的要因により発生しており、海洋汚染を防止するためには国民一人一人の海洋環境の保全に関する意識の高揚が必要不可欠です。
このため、海上保安庁では、海事・漁業関係者に対して廃棄物の適正処理、油等の排出防止のための技術的な指導及び関係法令の励行などを行うとともに、 海洋環境保全推進員等のボランティアと連携した啓発活動を推進していきます。
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▲測量船による採水作業 |
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▲漁船を対象とした訪船指導 |
(2) 海洋環境保全のための取組み
海洋環境の保全に役立てるため、東京湾、伊勢湾、大阪湾などの内湾域から外洋域にかけて、定期的に海水及び 海底堆積物を採取し、油分、 PCB、重金属等について海洋汚染調査を実施していきます。
また、日本周辺海域や深海域の海水及び 海底堆積物について、核廃棄物の海洋投棄や核実験等で生じる自然界に存在しない 人工放射性物質の調査を定期的に実施するとともに、米国原子力艦が寄港する横須賀港(神奈川県)、佐世保港(長崎県)、金武中城港(沖縄県)において、周辺住民の安全を確保するための 放射能調査を定期的に実施していきます。
なお、これらの調査結果は報告書として取りまとめ、インターネットで公開をしています。
http://www1.kaiho.mlit.go.jp/KANKYO/OSEN/oceanenv.html
この他、我が国の代表的な閉鎖性海域である東京湾、大阪湾及び伊勢湾では、都市再生プロジェクト(第三次決定「海の再生」)に基づき各湾の「再生行動計画」が策定されています。この計画による水環境改善のため関係機関と連携し、環境モニタリングや海域の環境教育等の各種施策を推進していきます。また、広島湾においても国土交通省が進める「全国海の再生プロジェクト」の一環として水環境改善に向けた取組みを進めていきます。
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