海上保安レポート 2007

●はじめに


■TOPICS 海上保安の1年


特集 海洋国家「日本」と海上保安庁
〜海洋権益保全への取組み〜

はじめに

1.これが現場第一線

2.海洋調査に迫る


海上保安庁の業務・体制


■本編

治安の確保

生命を救う

青い海を護る

災害に備える

海を識る

航海を支える

海を繋ぐ


海上保安官を目指す


語句説明・索引


図表索引


資料編


本編 > 災害に備える > 2. 自然災害対策
2. 自然災害対策
目標
 海上保安庁では、海上における台風や津波等の自然災害による被害を最小限に抑えることを目標としています。このため、
  1. 自然災害発生時に迅速かつ的確な応急対策を実施する体制の確立
  2. 地震・火山活動やそれに伴う津波に関する精度の高い事前情報の提供
に取り組んでいます。
平成18年の現況
被災住民の島外への搬送訓練
▲被災住民の島外への搬送訓練
 平成18年11月21日は、昭和61年の伊豆大島三原山噴火で住民が島外避難した日から20年の節目の日です。この日、伊豆大島において、火山噴火や津波による災害が発生したとの想定で、東京都と関係機関が連携し「平成18年度東京都・大島町合同総合防災訓練」が実施されました。海上保安庁では、巡視船艇・航空機等を参加させ、被災住民の島外への搬送訓練、津波災害漂流者の救助、救援物資の緊急輸送訓練等を実施しました。
 平成19年3月25日に発生した「能登半島地震」では、航行警報等による船舶等への津波情報の提供を迅速に実施するとともに、巡視船艇・航空機を出動させて、港湾や沿岸部における被害状況調査等を実施しました。また、4月から5月までの間、この地震による海底面の変化を調査するため、測量船「天洋」による震源域周辺の海底調査を実施しました。
 そのほか、地震・津波に関する警報を迅速に提供するため、気象庁からの地震・津波情報を自動的に航行警報で船舶に提供するシステムを整備しています。

■主な合同訓練(自然災害)
主な合同訓練(自然災害)
今後の取組み
(1)機動性の高い救助体制の構築

 海上保安庁では、特に人的被害の軽減を図るため、機動性の高い救助体制を構築する必要があることから、機動救難士の航空基地への配置を引き続き充実(19年度8名増)させます。また、机上訓練、実働訓練等を通じ、自然災害対応における関係機関との連携を強化します。

(2)港内における津波対策

大阪地区津波防災総合訓練
▲大阪地区津波防災総合訓練
 地震が発生した場合、大きな津波の来襲が想定される港湾や沿岸域では、港内に船舶が在舶していれば甚大な被害の発生が懸念されます。平成18年11月15日と平成19年1月13日に発生した千島列島東方の地震による太平洋沿岸等の津波警報に関しては、航行船舶等に対し速やかに航行警報を発出し津波に対する注意を促しました。
 また、津波は港ごとに地震発生から来襲までの時間が様々であり、津波の規模や船舶への影響等も、港の形態、利用状況等によって異なります。このため、主要な港を中心に「船舶津波対策協議会」を設立し、海上保安庁が収集・整理した津波防災に関するデータを活用しながら必要な対策を策定していきます。

(3)防災情報の整備

 離島や沿岸域において、地震・津波等自然災害後の住民避難や支援物資の搬入等を迅速に行うため、海底地形等の自然情報に加え、防災機関、医療機関、ヘリポートとして使用できる場所の位置や地域の人口等の社会情報などを収集し、これらの情報を記載した「沿岸防災情報図」として整備し、地方自治体等の防災関係機関に提供していきます。

■沿岸防災情報図
沿岸防災情報図