海上保安レポート 2007

●はじめに


■TOPICS 海上保安の1年


特集 海洋国家「日本」と海上保安庁
〜海洋権益保全への取組み〜

はじめに

1.これが現場第一線

2.海洋調査に迫る


海上保安庁の業務・体制


■本編

治安の確保

生命を救う

青い海を護る

災害に備える

海を識る

航海を支える

海を繋ぐ


海上保安官を目指す


語句説明・索引


図表索引


資料編


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コラム12 南鳥島緊急措置

第三管区海上保安本部 千葉ロランセンター
主任ロラン運用調整官 濱村 信博
南鳥島全景
▲南鳥島全景
砂が堆積した滑走路
▲砂が堆積した滑走路
 東京から約1,950km離れた日本最東端に位置する「南鳥島」。この島には海上保安庁が運用している測位システム「ロランC」の送信局があり、24時間体制で運用を行っている。島には、私達のほかに海上自衛隊及び気象庁の職員が滞在している。
 平成18年9月3日、この島に猛烈な台風12号が襲来した。
 予報では、中心気圧は920ヘクトパスカル、最大風速55m/sの猛烈な台風が南鳥島にせまり、標高わずか8mのこの島に最高15mにも達する波が押し寄せるとも見込まれ、滞在員の生命に危険が及ぶ状況となった。
このため、島内滞在員の総員避難が決定され、海上自衛隊の航空機により、隣の島(約1,300km西方の硫黄島)へ避難することとなった。台風は、予報どおり、9月3日未明に南鳥島の東側至近を通過、各施設を破壊し、滑走路、道路等に大量のさんご砂が堆積するなどの大きな被害をもたらした。
 私たちは、総員が避難するまでの限られた時間の中で、避難の間もロランC局を継続運用させるため、海水取水ホースの取り外し、高潮に備えてロランの機器や生活用品等物品の高所への移動などあらゆる措置を総員徹夜で実施した。そのかいもあり、付属施設に被害が出たものの、ロランC局は避難中も奇跡的に稼動し続け、我が国経済水域のほとんどをカバーしているロランCのシステムダウンによる船舶交通の混乱を避けることができた。
 隔絶した離島での生活、業務は大変厳しいが、船舶航行の安全のため、いかなる事態が発生したとしても安定した運用を続けていくことが私たちの使命である。