▲南鳥島全景 |
▲砂が堆積した滑走路 |
平成18年9月3日、この島に猛烈な台風12号が襲来した。
予報では、中心気圧は920ヘクトパスカル、最大風速55m/sの猛烈な台風が南鳥島にせまり、標高わずか8mのこの島に最高15mにも達する波が押し寄せるとも見込まれ、滞在員の生命に危険が及ぶ状況となった。
このため、島内滞在員の総員避難が決定され、海上自衛隊の航空機により、隣の島(約1,300km西方の硫黄島)へ避難することとなった。台風は、予報どおり、9月3日未明に南鳥島の東側至近を通過、各施設を破壊し、滑走路、道路等に大量のさんご砂が堆積するなどの大きな被害をもたらした。
私たちは、総員が避難するまでの限られた時間の中で、避難の間もロランC局を継続運用させるため、海水取水ホースの取り外し、高潮に備えてロランの機器や生活用品等物品の高所への移動などあらゆる措置を総員徹夜で実施した。そのかいもあり、付属施設に被害が出たものの、ロランC局は避難中も奇跡的に稼動し続け、我が国経済水域のほとんどをカバーしているロランCのシステムダウンによる船舶交通の混乱を避けることができた。
隔絶した離島での生活、業務は大変厳しいが、船舶航行の安全のため、いかなる事態が発生したとしても安定した運用を続けていくことが私たちの使命である。