▲「海姫」メンバー |
▲「海姫」のリーダー 海上保安試験研究センター所属 川原山由香主任 |
イギリス南東岸とフランス北岸を隔てるドーバー海峡の横断は、「長距離泳者のエベレスト」と言われています。
その訳は、潮の流れが約6ノット(時速約11キロメートル)と急であり、また、夏でも水温は冬場の日本海に相当する15度前後と非常に低く、さらに、競技ルールが、
○体に装備できるのは、水着、キャップ、ゴーグルだけ
○往復約100キロをメンバー1人が順番に1時間ずつ泳ぐこと
○泳者が伴走船に触れたら失格
など、とても厳しいからなのです。
「海姫」がドーバー挑戦を決めたのは、平成16年11月。その後は、合宿での厳しい練習や渡航費用の調達など、さまざまな困難を乗り越え、準備を着実に進めてきました。
なかでも、2月に行った海岸での練習では、通行人から「厳冬期に水着姿の人達がいる」と不審者扱いされることもあったそうです。
本番を前にしてメンバーが立てた目標は、「完泳するだけではなく1993年にポーランドチームが樹立した20時間43分の女性世界記録の更新!」でした。
8月13日午前3時45分、ついにイギリスのドーバーから第一泳者がスタートしました。
当日の海上模様は、波が5、6メートル、水温、気温とも平均15度と低く、支援船上で待機するメンバーも船酔いと闘いながらの挑戦が続きましたが、6人が力を結集し完泳を果たしました。
気になる記録ですが、「22時間34分」、惜しくも世界記録には届きませんでしたが、これまで日本人の持っていた「23時間18分」の記録を44分縮め、5年ぶりに日本新記録を打ち立てました。
この活躍にエールを送るとともに、いつの日か、また「海姫」が世界記録更新に向け挑戦を始めることに期待したいものです。