海上保安レポート 2004

●はじめに


■TOPICS 海上保安の一年


■特集1 国際展開する海上保安庁

■特集2 刷新図る海保の勢力


海上保安庁の業務・体制


■本編

治安の確保

生命を救う

青い海を護る

災害に備える

海を識る

航海を支える


海保のサポーター


海上保安官を目指す!


語句説明・索引


図表索引


資料編


特集2 > 刷新図る海保の勢力 > コラム チーム「海姫」ドーバー海峡往復で日本新記録達成!
チーム「海姫」ドーバー海峡往復で日本新記録達成!
 平成17年8月13日、「海姫ドーバー海峡往復制覇!」の知らせが飛び込んできました。
「海姫」メンバー
▲「海姫」メンバー
「海姫」のリーダー 海上保安試験研究センター所属 川原山由香主任
▲「海姫」のリーダー
海上保安試験研究センター所属
川原山由香主任
 「海姫」とは、遠泳で活躍する6人の女性により結成された「泳ぎのオールスターチーム」であり、そのチームリーダーは、女性海上保安官です。
 イギリス南東岸とフランス北岸を隔てるドーバー海峡の横断は、「長距離泳者のエベレスト」と言われています。
 その訳は、潮の流れが約6ノット(時速約11キロメートル)と急であり、また、夏でも水温は冬場の日本海に相当する15度前後と非常に低く、さらに、競技ルールが、

 ○体に装備できるのは、水着、キャップ、ゴーグルだけ
 ○往復約100キロをメンバー1人が順番に1時間ずつ泳ぐこと
 ○泳者が伴走船に触れたら失格

など、とても厳しいからなのです。
 「海姫」がドーバー挑戦を決めたのは、平成16年11月。その後は、合宿での厳しい練習や渡航費用の調達など、さまざまな困難を乗り越え、準備を着実に進めてきました。
 なかでも、2月に行った海岸での練習では、通行人から「厳冬期に水着姿の人達がいる」と不審者扱いされることもあったそうです。
 本番を前にしてメンバーが立てた目標は、「完泳するだけではなく1993年にポーランドチームが樹立した20時間43分の女性世界記録の更新!」でした。
 8月13日午前3時45分、ついにイギリスのドーバーから第一泳者がスタートしました。
 当日の海上模様は、波が5、6メートル、水温、気温とも平均15度と低く、支援船上で待機するメンバーも船酔いと闘いながらの挑戦が続きましたが、6人が力を結集し完泳を果たしました。
 気になる記録ですが、「22時間34分」、惜しくも世界記録には届きませんでしたが、これまで日本人の持っていた「23時間18分」の記録を44分縮め、5年ぶりに日本新記録を打ち立てました。
 この活躍にエールを送るとともに、いつの日か、また「海姫」が世界記録更新に向け挑戦を始めることに期待したいものです。