海上保安レポート 2006

●はじめに


■TOPICS 海上保安の一年


■特集1 国際展開する海上保安庁

■特集2 刷新図る海保の勢力


海上保安庁の業務・体制


■本編

治安の確保

生命を救う

青い海を護る

災害に備える

海を識る

航海を支える


海保のサポーター


海上保安官を目指す!


語句説明・索引


図表索引


資料編


本編 > 治安の確保 > 1 悪質な国内密漁対策
1 悪質な国内密漁対策

目 標
 我が国の周辺海域は水産資源が豊かであり、その資源を狙った密漁事犯は後を絶ちません。これらは私利に目が眩んだ不良漁業者によるほか暴力団が組織ぐるみで敢行することも少なくなく、一層悪質化しているのも事実です。これらを根絶することは資源の乱獲を防ぐだけではなく、暴力団等の活動力を弱体化させることにつながることから徹底した取締りが不可欠です。
 そのため、海上保安庁では強力な監視取締活動を行い、地域からの情報提供を呼びかけるとともに、水産庁などの関係機関との緊密な連携を進め、密漁事犯の撲滅を目指しています。
 特に暴力団関係者が関与する悪質な密漁に対しては、その根絶に向け厳格に対処し、摘発水準の向上を目指します。
潜水器密漁を検挙

 平成17年4月、広島海上保安部(広島県)は、かねてから潜水器密漁の内偵捜査を行っていたところ、広島県呉市沖合で、広島県知事の許可を受けずに潜水器を使用して密漁をしていた漁船を発見し、直ちに取り押え、元指定暴力団組員1名を含む9名を広島県漁業調整規則違反で逮捕しました。
海上保安官による密漁船の捜索
▲海上保安官による密漁船の捜索

平成17年の現況
 平成17年の密漁事犯に係る送致件数は、1,429件と前年より216件増加しています。
 また、その根絶が喫緊の課題である暴力団関係者が関与する密漁事犯については、地域特性に応じた取締り手法の開発や関係機関との連携強化を推進し、引き続き重点的に取締りを実施した結果、その摘発件数は横ばいの状況が続いています。
 このように、国内における悪質な密漁は依然として多発しており、自治体等からも強い取締要請がある一方で、その態様は犯罪収益に比べて量刑が低いため再犯性が高く、組織化、悪質・巧妙化の一途をたどっています。(詳しくは「TOPICS 4 水産資源の乱獲! 密漁は許さない!」をご覧下さい。)

国内密漁事犯の推移
国内密漁事犯の推移
今後の取組み
 海上保安庁では、悪質・巧妙化する事犯に対処すべく、新たな監視取締手法の研究や、被疑船舶を割り出すための現場鑑識能力を強化するとともに、情報収集体制のさらなる拡充を図っています。
 また、関係機関との情報交換や合同パトロール、港湾管理者による不法係留船対策等の施策を有機的に連携させ、「密漁船が活動し難い環境」を醸成するなど、地域の特性に応じた総合的な密漁対策を推進するとともに、関係機関や防犯団体等との連携を強化するなど、引き続き積極的に展開していきます。