海上保安レポート 2006

●はじめに


■TOPICS 海上保安の一年


■特集1 国際展開する海上保安庁

■特集2 刷新図る海保の勢力


海上保安庁の業務・体制


■本編

治安の確保

生命を救う

青い海を護る

災害に備える

海を識る

航海を支える


海保のサポーター


海上保安官を目指す!


語句説明・索引


図表索引


資料編


本編 > 治安の確保 > 海上犯罪の現況
海上犯罪の現況

 平成17年の1年間における海上犯罪の取締りについては、海上における治安の回復を図るべく、従来の取締体制を見直し、訓練・研修などにより犯罪の糸口を探知する能力の強化などを図りました。
 さらに、国内外の関係機関との連携・協力の推進や科学捜査分野の積極的な活用が相まって、平成17年における海上犯罪の送致件数は前年の4,861件に比べ増加し6,256件となっています。
 また、平成17年の海上保安庁の捜査活動の特色としては、「捜査の国際化」、「機動力を活かした捜査」、「捜査における科学技術の活用」が挙げられ、海上保安庁の特色を駆使した一年となりました。
 しかしながら、送致件数が増加したとはいえ、10年前の約7割の水準に止まっていること、また偽造クレジットカードの原板の密輸入など、過去には見られなかった、情報化した社会に特有の犯罪も発生していることから潜在的な事犯の存在が憂慮されています。
 また、地域の経済社会に大きな影響を与える犯罪では、暴力団関係者による組織的な密漁の存在、大量の建設廃材等の産業廃棄物の不法投棄のほか、大規模工場による管理不適切または組織ぐるみの汚水排出などといった海上環境事犯も後を絶ちません。
 これらの海上犯罪のほかに、最近では、国外から我が国の安全安心を脅かす犯罪が多発しているのも特徴的です。外国漁船による不法操業などは、我が国周辺海域における水産資源を枯渇させ、漁業秩序を著しく乱す大きな原因です。また、薬物や銃器の密輸や不法入国などは、その背後に国際犯罪組織や国内の暴力団の影があります。これらはますます悪質・巧妙化する状況にあり、摘発に至るものは氷山の一角にすぎないと考えます。
 このように、我が国周辺海域における各種犯罪の発生は引き続き予断を許さない状況にあります。
 政府においても、治安の回復は最重要課題であるとし、犯罪対策閣僚会議において策定された「犯罪に強い社会の実現のための行動計画」に基づき諸対策に取り組んでいます。
 海上保安庁は海上における秩序維持を担う警察機関としての責務を果たすべく、巡視船艇・航空機等現有勢力の効率的な運用などにより監視取締体制の強化を図るほか、テロや不審船に備えた警戒・訓練を実施、国内外関係機関ともより密接に連携・協力し、日本の海の秩序維持に万全を期していきます。

海上犯罪送致件数(平成17年)
海上犯罪送致件数(平成17年)