Column Vol.11
人工衛星レーザー測距観測4万回を達成!
五管区・下里水路観測所
人工衛星レーザー測距観測4万回を達成!
五管区・下里水路観測所
海上保安庁における唯一の水路観測所である下里水路観測所(和歌山県)は、海図の作成に必要な日本列島の正確な位置を求めるため、レーザー光を使った「人工衛星レーザー測距観測」を行っています。昭和57年の観測開始から35周年にあたる平成29年10月31日に、通算の観測成功数が4万回を達成しました。
海上保安庁では人工衛星レーザー測距観測で取得したデータに基づき、海図の位置情報の基準となる本土基準点の精密な位置測定を行い、明治時代から使われた位置情報の基準(日本測地系)とGPSなどで使われる世界的な位置情報の基準(世界測地系)のずれの決定や、大陸間のプレート移動量の把握、離島の精密位置測定を行ってきました。さらに、これらの成果により、世界測地系の海図を刊行し、日本近海を航行する船舶の航海安全に寄与しています。
近年は海上の船位にとどまらず、スマートフォンやカーナビなどの普及に伴い、私たち一人一人にとっても位置情報は身近となっています。位置情報を正確に維持していくためには人工衛星レーザー測距観測などの地球規模での精密測地観測が必要不可欠です。
下里水路観測所は日本唯一の測地を目的とした人工衛星レーザー測距観測局であり、米国航空宇宙局を事務局とする国際レーザー測距事業を中心とした国際共同観測に参加し、東アジア地域の重要な観測局として世界測地系の構築と精度維持に長年貢献しています。
下里水路観測所はこれからも、位置情報の基準という社会のインフラを支えるため、昼夜を問わず人工衛星を追い続けます。
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