海上保安レポート 2012

はじめに


TOPICS 海上保安の一年


特集 東日本大震災


海上保安庁の任務・体制


■本編

1 治安の確保

2 領海等を守る

3 生命を救う

4 青い海を守る

5 災害に備える

6 海を知る

7 交通の安全を守る

8 海をつなぐ


目指せ! 海上保安官


語句説明・索引


図表索引


資料編

7 交通の安全を守る > CHAPTER 4 航行の安全のための情報提供
7 交通の安全を守る
CHAPTER 4 航行の安全のための情報提供

航海の安全に必要な情報を迅速かつ確実に提供し、海難の未然防止に努めています。

平成23年の現況
1 MICS(沿岸域情報提供システム)

プレジャーボート、漁船等の船舶運航者や磯釣り、マリンスポーツ等のマリンレジャー愛好者の方々に対して、全国の海上保安部等からリアルタイムに海の安全に関する情報を提供する沿岸域情報提供システム(MICS)を運用しています。MICSの情報は、webサイト(パソコン、携帯電話)、テレホンサービス、無線電話により入手することができます。MICSは、船舶運航者の約4割の方が利用されており、利用されている情報の約9割が気象・海象情報となっています。特に、近年、携帯電話からの利用者が増加傾向にあることから、平成23年7月1日からは、第三管区海上保安本部において、24時間体制でリアルタイムで携帯電話等に漂流物や気象警報等の緊急情報を電子メールで配信する新たな情報提供サービスを開始しました。また、MICS webサイト(パソコン)の全面的なリニューアルを行い、全国で統一したデザインとすることでMICSの「見やすさ」や「使いやすさ」を向上させました。


● メール配信サービス

http://www7.kaiho.mlit.go.jp/micsmail/reg/touroku.html

メール配信サービスは、上記のwebページから登録することができます。(迷惑メール対策を設定している方は、登録を行う前に、ドメイン指定受信設定に「mics.kaiho.mlit.go.jp」を追加してください。)

メール配信サービス

■新たな情報提供体制
新たな情報提供体制
2 水路図誌、水路通報、航行警報
水路図誌

海上保安庁では、水深や航路の状況といった航海の安全に不可欠な情報を、海図等の水路図誌として提供しています。


水路通報

水路図誌を最新のものに維持するための情報及び船舶交通の安全に必要な航路標識の変更、海上での工事・作業、自衛隊や米軍等が実施する射爆撃訓練等の情報を水路通報としてインターネットで提供しています。平成23年は約3万件を提供しました。


航行警報

船舶の安全な航行のため緊急に必要な情報等を衛星通信、無線放送、インターネット等によりNAVAREA XI航行警報NAVTEX航行警報、日本航行警報、地域航行警報として航行船舶に対して提供しています。


■水路通報・航行警報の概念図
水路通報・航行警報の概念図
今後の取組み

引き続き、海上保安庁では、海難等の未然防止のため、MICSAISを活用した航行支援システム、水路通報航行警報による情報提供等を的確に行っていきます。また、漁船やプレジャーボート等の小型船舶による海難の割合が多いことから、今後は、小型船舶向けの情報提供体制の充実を図っていきます。


次世代航行支援システムの構築

AISによる船舶動静情報や仮想航路標識情報のほか、気象・海象、推薦航路、航行制限水域、管制状況といった様々な安全情報をビジュアルで分かりやすく表示し、操船者がより安全に操船できるよう支援する新たなシステム(ENSS:Electronic Navigation Support System)の検討を進めています。また、国土交通省との連携により「次世代航行支援システム」(e-Navigation)の構築を目指します。


AISを活用した航行支援システム

AISを活用した航行支援システムを的確に運用し、日本沿岸において、乗揚げや走錨のおそれのあるAIS搭載船舶に対して、注意喚起や各種航行安全情報を提供していきます。


小型船舶に対する情報提供の強化

船舶海難全体の約7割を占めているプレジャーボート、漁船等の小型船舶は、無線設備を搭載していないものが多く、情報を入手する手段として、主に携帯電話が利用されていることから、電子メールを活用した情報提供サービスを、順次全国的に展開するなど、小型船舶に対する情報提供の強化を図ります。