海上保安庁は、世界的にも高いレベルの技術・技能を有した組織です。国際社会において、この技術・技能を活かし、国際社会に貢献するため、様々な国際機関等に積極的に参画しています。
1 国際海事機関(IMO)における取組み
IMOは、海上における安全及び海洋汚染の防止等の海事問題に関する国際協力を促進するための国連の専門機関です。
平成21年度においては、第86回海上安全委員会(MSC86)や第55回航行安全小委員会(NAV55)等の会合に職員を派遣し、新しい船舶自動識別装置(AIS)による仮想航路標識のシンボル開発を提案するなどしました。海上保安庁では、今後もIMOにおける取組み等に積極的に貢献していきます。
2 国際水路機関(IHO)における取組み
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臨時国際水路会議 |
IHOは、航海の安全及び海洋環境の保護を支援するために1921年に設立された政府間の機関です。現在80カ国が加盟し、海図作製仕様の統一等に関する活動を行っています。
平成21年6月には、第4回臨時国際水路会議が開催され、航海用電子海図(ENC)刊行区域の充実や品質の向上についての議論を行いました。海上保安庁においては、ENCの刊行が不十分な加盟国を支援することとしており、平成21年度においては、パプアニューギニアに対するENC整備・普及支援事業を行うなどしました。
また、平成21年9月から3ヶ月間、海上保安庁では、IHO、英国海洋情報部等と共に、世界各国から募集した研修員に対して、海図作製等に関する研修を実施しました。これにより、ENCの整備が十分ではない国の海図専門家に対し、海図作製及び海図の電子化並びに最新維持の技術を伝授することにより、ENC刊行の促進を図りました。
3 コスパス・サーサット理事会における取組み
コスパス・サーサットシステムとは、人工衛星により中継された遭難信号から遭難船舶等の位置を迅速に検出するシステムです。このシステムは、コスパス・サーサットの国際協定を締結した国々によって運営されています。
平成21年10月26日から29日までの間、カナダにおいて第43回理事会が開催されました。理事会では、各国のシステム及び運用状況等について報告が行われました。
また、我が国においても、平成21年8月26日から27日までの間、コスパス・サーサット北西太平洋地域会議が開催され、今後導入される新システムや運用面の課題等について議論するとともに、意見・情報交換を行いました。海上保安庁では、今後も各国と連携して、コスパス・サーサットシステムを運営していくこととしています。
4 国際航路標識協会(IALA)における取組み
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IALA理事会 |
IALAは、航路標識の改善と世界的な協力により、船舶交通の安全性、運航効率の向上を図ることを目的とした国際的な機関です。
海上保安庁は、IALAの理事に選任されており、IALAの運営管理に関与するとともに、関係会議に職員を派遣し、航路標識分野における基準の策定作業や特にAIS等の最新技術を活用した沿岸からの航行支援システムの導入に向けた新たな取組みといった活動に積極的に貢献しています。
また、平成22年3月にケープタウン(南アフリカ)で開催された第17回IALA総会において、理事選挙が実施され、海上保安庁は昭和50年の理事当選以来、9期連続で選任されました。