海上保安レポート 2010

はじめに


TOPICS 海上保安の一年

特集


海上保安庁の任務・体制


治安の確保

領海等を守る

生命を救う

青い海を護る

災害に備える

海を識る

交通の安全を守る

海を繋ぐ


目指せ!海上保安官


語句説明・索引


図表索引


資料編


08 海を繋ぐ > CHAPTER1 関係国との連携・協力
08 海を繋ぐ
CHAPTER1 関係国との連携・協力

海上保安庁のみの取組みでは十分な解決が図れない様々な問題に対処していくため、海外関係機関との連携・協力を推進します。

多国間連携

各国が直面している共通の問題に対して、地域レベルで連携・協力して対処していくことは大変有意義です。海上保安庁では、積極的に、各国関係機関との連携・協力を推進しています。


1 北太平洋海上保安フォーラム
北太平洋海上保安サミット
北太平洋海上保安サミット

海上保安庁は、日本、ロシア、韓国、カナダ、米国、中国の6か国の海上保安機関の代表が一堂に会し各国間の具体的な連携・協力について協議を行う北太平洋海上保安フォーラムの構成機関として、北太平洋地域の海上の秩序・治安の確保のための国際連携に努めています。

同フォーラムは、長官級会合である北太平洋海上保安サミットと実務者による北太平洋海上保安専門家会合で構成されており、各国間の連携・協力をより実践的なものにするための多目的訓練も実施されています。

平成21年8月に米国において開催された多目的訓練においては、海上保安庁は巡視船を派遣し、捜索救助訓練や立入検査訓練に参加しました。

平成21年9月には、韓国の釜山において、第10回北太平洋海上保安サミットが開催され、今後も多目的訓練等を通じた実践的な連携・協力を促進していくことや各国間での情報交換に関する詳細な手続きを策定していくことなどについて合意しました。また、これまでの北太平洋海上保安フォーラムが果たしてきた役割を評価し、今後も連携・協力を促進していくことをうたった「釜山宣言」を採択しました。

2 アジア海上保安機関長官級会合
アジア海上保安機関長官級会合
アジア海上保安機関長官級会合

アジア海上保安機関長官級会合は、海賊海上武装強盗事案の多発、厳しいテロ情勢及び国境を越える犯罪の増加等を踏まえ、アジアの海上保安機関の長官級が一堂に会し、海上保安行政に関する地域的な連携強化を図ることを目的として、海上保安庁の提唱により、平成16年から開催されているものです。

平成21年7月には、インドネシアにおいて第5回長官級会合が開催されました。会合においては、アジア各国の海上保安機関の能力向上を目的としたキャパシティー・ビルディングやアジア海域における海賊海上武装強盗事案の現状及び今後の対策について意見交換を行ったほか、アジア海上保安機関間での協力の継続やキャパシティー・ビルディングの強化の促進等をうたった共同宣言を採択しました。

3 MADLES2009(海上薬物取締セミナー)
被疑者制圧の実演
被疑者制圧の実演

アジア圏内の関係機関との連携強化や海上保安庁の取締技術の移転を目的として、平成21年12月に東京及び横浜において、アジア6か国等の海上保安機関及び薬物取締機関の実務責任者レベルによる「海上薬物取締セミナー(Maritime Drug Law Enforcement Seminar 2009)」を開催しました。

本セミナーでは、各国の薬物情勢や取締体制の現状にかかる情報交換、各国との合同オペレーションを想定した机上訓練を実施するとともに、第三管区海上保安本部において、外国関係機関から「密輸容疑船が、大量の覚せい剤を密輸する」との情報を入手したという想定の下、容疑船の停船、制圧、その後の薬物発見、被疑者の逮捕までの過程を実演し海上取締りに関する技術移転を実施しました。

二国間連携

二国間で共通する問題については、両国でその問題解決に向けて連携していくことが重要です。海上保安庁では、多国間連携に加え、二国間での連携・協力関係の構築にも積極的に取り組んでいます。


1 日韓海上保安当局間長官級協議
日韓海上保安当局間長官級協議
日韓海上保安当局間長官級協議

日本・韓国間の海上においては、違法操業、不法出入国、海難事故等、様々な事案が発生しています。これらの事案への対応にあたっては、海域を接する両国海上保安当局間で緊密に連携していくことが重要です。そのため、両国間の海上における秩序維持を図ることを目的として、平成11年から毎年1回、日韓海上保安当局間長官級協議を開催しています。長官級での協議のほかにも、現場レベルを含む各レベルでの会合・連携訓練等を行い、一層の相互理解・業務協力を推進しています。

平成21年11月には、仁川(韓国)において、海上保安庁長官と韓国海洋警察庁長による長官級協議が行われ、漁業及び密輸・密航の取締り、捜索救助等についての両国間での協力の重要性を再確認するとともに、両国間での人的交流の活性化について今後検討を進めていくことで合意しました。

2 日印海上保安機関長官級会合
日印海上保安機関長官級会合
日印海上保安機関長官級会合

海上保安庁とインド沿岸警備隊は、平成11年10月の「ALONDRA RAINBOW」号事件を契機として交流が始まり、長官及び巡視船の定期的な相互訪問等を実施しています。平成18年、「海上保安庁とインド沿岸警備隊の間の協力に関する覚書」に署名し、両機関間の協力促進の枠組みを策定しています。平成22年1月には、デリー(インド)において、第9回目となる日印海上保安機関長官級会合が開催され、海上セキュリティー、海賊対策、捜索救助、流出油防除等の幅広い分野での意見交換が実施されました。