欧州とアジアを結ぶ世界の海上輸送路の要衝であるソマリア沖・アデン湾においては、昨今、海賊が商船を襲撃する事件が頻発しており、我が国経済や国民生活に必要な物資の安定輸送に大きな影響を及ぼしかねない状況になっています。
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特集3 海保の海賊対策〜人類共通の敵への対応〜
3 ソマリア周辺海域の海賊対策
1.背景
欧州とアジアを結ぶ世界の海上輸送路の要衝であるソマリア沖・アデン湾においては、昨今、海賊が商船を襲撃する事件が頻発しており、我が国経済や国民生活に必要な物資の安定輸送に大きな影響を及ぼしかねない状況になっています。 2.対策
海賊対策は、海賊行為の予防及び鎮圧や海賊の逮捕及び捜査といった警察活動、国際的な枠組み作りや国際協力といった取組み等から構成される総合的な取組みであり、海上保安庁においては、次のような取組みを積極的に実施しています。 (1)ソマリア周辺海域派遣捜査隊の同乗
海賊事案への対処は、海上における人命・財産の保護、治安の維持等について一義的責務を有する海上保安庁の任務であります。しかしながら、ソマリア周辺海域に巡視船を派遣することは、日本からの距離、海賊が所持する武器、各国では軍艦等が対応していること等を総合的に勘案すると現状においては困難な状況です。 このような状況を踏まえ、平成21年3月、海上警備行動が発令され、自衛隊が派遣されることとなりました。海上保安庁では、派遣される護衛艦に「ソマリア周辺海域派遣捜査隊」として、海上保安官8名を乗船させ、海賊の逮捕、取調べ等といった、海賊に対する司法警察業務に的確に対処していくこととしています。 また、我が国の経済社会及び国民生活における船舶航行の安全確保の重要性並びに国連海洋法条約の主旨にかんがみ、海賊行為の処罰及び海賊行為への適切かつ効果的な対処のために必要な事項を定め、海洋における公共の安全と秩序維持を図ることを目的とした「海賊行為の処罰及び海賊行為への対処に関する法律案」が、平成21年第171回国会(常会)に提出されています。 国際社会の対応
欧米のみならず、中国、韓国のアジア諸国等も部隊を派遣し、海賊しょう戒、民間船のエスコート等に従事しています。また、国際連合安全保障理事会においては、ソマリア沖の海賊行為の防止に向け、ソマリア領内で必要とされる「あらゆる措置を執ること」の決議が採択されています。 (2)ソマリア周辺諸国の海上法執行能力向上のための人材育成支援等
海上保安庁では、ソマリア周辺諸国の海上法執行能力向上のための人材育成支援として、平成20年10月に、独立行政法人国際協力機構(JICA)の協力のもと「海上犯罪取締研修」を開催し、ソマリア周辺諸国の海上保安機関であるイエメン沿岸警備隊幹部職員等を我が国に招へいし、海賊対策をはじめとする海上犯罪の取締りに必要な知識・技術の移転を行っています。 また、平成21年2月には、イエメン沿岸警備隊主催の「ソマリア沖・アデン湾海賊対策に係る地域海上安全保障会議」に職員を参加させ、今後のソマリア周辺諸国に対する各国の支援のあり方等について議論を深めています。 海上保安庁としては、今後も、「海上犯罪取締研修」への関係国海上保安機関職員の招へい等、実施可能な支援を検討していきたいと考えています。 (3)国際会議への参加
平成20年12月に採択された国連安保理決議第1851号により、ソマリア沖での海賊の抑止のための関係国・関係機関との調整のためにコンタクト・グループが設置され、平成21年1月、第1回会合が米国にて開催されました。同会合においては、ソマリア沖での海賊行為の防止のための重要検討事項が抽出され、これらの重要事項を検討するため4つのワーキンググループが設置されました。 海上保安庁においては、これらの国際的な会議に参画するなどして、引き続き、ソマリア沖海賊対策に必要な情報収集、情報交換を行っていきたいと考えています。 「海賊行為の処罰及び海賊行為への対処に関する法律案」の概要
※第171回国会(常会)提出時点 海賊行為の定義
海賊行為に関する罪
海上保安庁による海賊行為への対処
自衛隊による海賊行為への対処
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